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第86回:「所得拡大促進税制」の概要について

2019年4月20日

今回の税務トピックは、平成30年4月に改正がありました「所得拡大促進税制」の概要について、その中でも特に中小企業向けの内容をご紹介していきます。改正後の所得拡大税制は令和元年5月申告から適用されますため、今後申告を控えている方は必見です。

また現行の所得拡大税制は、改正前と比べて適用要件の判定がシンプルになりました。これから従業員への昇給等を考えていましたら、ぜひ税額控除ができる所得拡大税制をご検討して頂ければと思います。

 

【概要】

所得拡大税制は青色申告書を提出している中小企業者等が、平成30年4月1日~令和3年3月31日までに開始される事業年度において、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税から税額控除できる制度です。ポイント下記の3つになります。

  • 青色申告書を提出
  • 平成30年4月1日~令和3年3月31日までに開始される事業年度
  • 前年度より給与等の支給額が増加している

3の給与等の支給額の増加は、給与総額[全ての国内雇用者に支払った給与等の総額(役員等に支払った給与等は除く)]が前年度より増加していることが条件となります。

 

所得拡大税制の概要とフローチャートのURL

中小企業向け所得拡大税制のお知らせ

 

 

【適用要件】

継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加することです。

継続雇用者の要件は下記の1~3全てを満たすものになります。

  • 前事業年度及び適用年度の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者である
  • 前事業年度及び適用年度の全ての期間において雇用保険の一般被保険者である
  • 前事業年度及び適用年度の全てまたは一部の期間において高年齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象となっていない

1を簡単に説明しますと、前事業年度と適用年度がそれぞれ12カ月の場合、計24カ月の全て月分給与等の支給を受けた国内雇用者である必要があります。

以上の要件を満たした継続雇用者の給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加していた場合、所得拡大税制の適用要件を満たしたということになります。

 

継続雇用者についての詳細は下記URLの5ページをご参照下さい。

中小企業向け所得拡大促進税制 ご利用ガイドブック

 

 

【税額控除】

雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額の15%を税額控除します。簡単に説明しますと、適用年度の給与総額から前事業年度の給与総額を差引いた金額の15%を税額控除できるということです。

※税額控除は法人税額の20%が上限となります。

 

【改正前との違い】

今回の改正で改正前と大きく変わった点を1つご紹介いたします。

改正後の所得拡大税制では適用年度が設立1期目の場合、その税制を利用することができなくなりました。新規設立であることは前事業年度が存在しないということです。そのため、適用要件の雇用保険者の1を満たすことができなくなりましたので、所得拡大税制の利用ができなくなりました。改正前では設立1期目でも簡易的に所得拡大税制を利用できていたため、これから法人設立を考えていた方には痛い改正になりました。

 

以上、今回は中小企業者向けの所得拡大税制の概要を簡単にご紹介してきました。所得拡大税制には通常の15%の税額控除だけではなく25%を税額控除できる要件、また大企業向けの要件もありますが、それはまた別の機会にご紹介できればと思います。

所得拡大税制、そのほか税務についてお困りのことがございましたら、ぜひチェスナットグループ税務・会計部門までご連絡下さい。

 

参照URL:

中小企業庁HP

中小企業向け 所得拡大促進税制 よくあるご質問Q&A集