2020年12月15日
皆さま、こんにちは。
皆さまは会社の業績を見る時、損益計算書上の「売上高」や「営業利益」等に重点を置くことが多いのではないでしょうか。そこで今回の経理トピックでは、お金≠利益という視点から経営状況を読み取るキャッシュフロー計算書についてお伝えします。
1.キャッシュフロー計算書とは
企業の一会計期間における資金の流れを表す書類で決算に必要な財務三表の一つ
a.期首残高、期中変動額及び期末残高の表示からお金の動きを把握
b.黒字倒産の予測(キャッシュの不足予想) 他
2.計算方法
計算する方法には、直接法と間接法があります。
直接法:本業に関する入手金を実績で把握して作成し、将来の予測を立てるために用いられる方法
間接法:損益計算書と貸借対照表から間接的にお金の流れを紐解き、税引前当期純利益からキャッシュのズレが生じる項目(減価償却費など)を調整して計算し、過去の実績を把握するために用いられ、「利益」≠「お金」がよく理解できる方法
ここからは、間接法に焦点を合わせてご説明します。
Ⅰ .実務で用いられやすい間接法の三つの区分
間接法は、会社の活動を三つに区分して表示します。
(1)営業活動によるキャッシュフロー
営業活動から得られる資金の増減を明らかにします。
該当する項目は、商品の仕入、商品の売上、人件費の支払い、水道光熱費などの経費があります。
(2)投資活動によるキャッシュフロー
投資活動から得られる資金の増減を明らかにします。
該当する項目には、固定資産の購入、売却などがあります。
(3)財務活動によるキャッシュフロー
企業の財務活動から得られる資金の増減を明らかにします。
該当する項目には、資金の借り入れ、リースの支払いなどがあります。
Ⅱ.営業活動によるキャッシュフロー
3つの区分のうち、今回は、本業で稼いだお金を表す最も重要な営業活動によるキャッシュフローに絞って説明します。
(1)営業キャッシュフローは、次の計算で表すことができます。
税引前当期純利益 +○○○
減価償却費 +○○○
売上債権の増加 -○○○
棚卸資産の増加 -○○○
仕入債務の減少 -○○○
売上債権の減少 +○○○
棚卸資産の減少 +○○○
仕入債務の増加 +○○○
法人税等の支払い -○○○
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営業キャッシュフロー ±△△△(注)
(2)営業キャッシュフローがプラスになった場合
経営活動によるキャッシュの支出が本業のキャッシュの収入で賄われていることが分かります。
借入金の返済や新規事業への投資、株主への利益還元ができ、会社の成長に繋がっていきます。
利益よりも営業キャッシュフローが大きいので、健全な状態であると考えられます。
(3)営業活動がマイナスになった場合
経営活動によるキャッシュの支出が、本業の収入で賄われていないことが分かります。
経営悪化が考えられ、金融機関等から追加の資金調達が必要となります。
会社が成長過程であり、設備投資等による支出増加などの理由から一時的にマイナスになることもあります。
3.キャッシュフロー計算書をマスターするポイント ― 間接法
I.損益計算書上の利益を把握する
当期純利益から逆算をして求めるため、利益を把握することが必要となります。
II.損益計算書上の「お金の出ていかない経費」を利益にプラス調整する
お金が出ていかない経費を非現金支出費用といいます。代表的なものとして、減価償却費や長期前払費用などがあります。
損益計算書上では費用計上されますが、お金の支払は実際に行われていないため、プラスの調整をする必要があります。
III.貸借対照表上で「入金になっていないもの」を利益からマイナス調整する
マイナス調整には次のようなものがあります。
(1) 売上債権の増加→キャッシュ未回収→マイナス調整
(2) 棚卸資産の増加→在庫が増えた(売れなかった)→マイナス調整
(3) 仕入債務の減少→キャッシュ支払済→マイナス調整
(4) その他流動資産の増加→キャッシュ未回収→マイナス調整
(5) その他流動負債の減少→キャッシュ支払済→マイナス調整
IV.貸借対照表上で「出金になっていないもの」を利益にプラス調整する
プラス調整には、には次のようなものがあります。
(1) 売上債権の減少→キャッシュ回収済→プラス調整
(2) 棚卸資産の減少→在庫が減った(売れた)→プラス調整
(3) 仕入債務の増加→キャッシュ未払い→プラス調整
(4) その他流動資産の減少→キャッシュ回収済→プラス調整
(5)その他流動負債の増加→キャッシュ未払い→プラス調整
V.法人税等は最後に差し引く
4.今まで使っていた用語の説明
・売上債権:売掛金や受取手形のことをいう。商品やサービスを購入し未収となっている債権のこと
・仕入債務:買掛金や支払手形のことをいう。商品やサービスを購入し未払となっている債務のこと
・棚卸資産:日々商品を仕入れ、販売できずに残ってしまった在庫のこと。
・その他流動資産:前払費用や短期貸付金、未収入金などのことをいう。金額が小さく重要度が低い流動資産が該当する
・その他流動負債:未払費用や前受金などのことをいう。金額が小さく重要度が低い流動負債が該当する
5.最後に
いかがでしたでしょうか。
今回はキャッシュフロー計算書の中の「営業活動によるキャッシュフロー」をメインにお伝えしました。
ご説明できなかった投資活動•財務活動によるキャッシュフローについては、次の機会に掲載いたします。
ご質問等ございましたら、ぜひチェスナットまでお問い合わせください!
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