2025年6月16日
皆さま、こんにちは。
令和7年度(2025年度)税制改正において、所得控除に関する見直しが行われ、いわゆる年収の壁が103万円から引き上げられました。今回はこれらの見直しについてご紹介します。
●税制改正の内容
①給与所得控除の見直し
給与所得者に対する給与所得控除の最低保障額が、現行の55万円から65万円に引き上げられました。引き上げ金額は下記の表のとおりです。なお、引き上げられたのは給与収入額が190万円以下の方であり、190万円超の方の給与所得控除は変わりません。
②基礎控除の見直し
次のとおり、合計所得金額に応じて、基礎控除額が改正されました。
改正があったのは合計所得2,350万円以下(給与所得のみの場合2,545万円以下)の方で、48万円から58万円に引き上げられました。
また、合計所得金額に応じ基礎控除を最高37万円上乗せする特例措置が創設されました。合計所得132万円以下(給与所得のみの場合約200万円以下)の方は、実質的に基礎控除が47万円引き上げられたことになります。なお、合計所得132万円超の方は令和8年までの2年間のみの限定的な措置となります。
③特定親族特別控除の創設
大学生等のアルバイトの就業調整に対応するため、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族を扶養する方を対象とした特定親族特別控除が創設されました。
これまで、合計所得金額が48万円(給与所得のみの場合約103万円)を超えると扶養親族から外れ、扶養控除の適用を受けることができませんでした。今後は下記の通りその特定親族の合計所得金額に応じて特定親族特別控除を行うことができます。
なお、年末調整において特定親族特別控除の適用を受けようとする人は、給与の支払者に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出する必要があり、提出書類が増えることになります。
④扶養親族等の所得要件の改正
基礎控除の改正に伴い、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件が以下の通り改正されました。
●配偶者控除などを受けるには
配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定扶養親族特別控除といった控除を満額受ける場合、ご家族の給与収入額は以下の金額が基準となります。なお、配偶者および特定親族の場合、この金額を超えてもすぐに控除額が0円になるわけではなく、給与収入に応じて段階的に控除額が逓減していきます。
配偶者:給与収入160万円以下
扶養親族:給与収入123万円以下
特定親族:給与収入150万円以下
●住民税の年収の壁
ここまででお伝えした内容は所得税上の改正です。住民税における年収の壁(住民税が課税される年収)の引き上げは、給与所得控除の増加額10万円のみとなります。住民税の場合、自治体により異なりますが、弊社の事務所がある港区のアルバイト等の給与収入における年収の壁は以下になります。
改正前:給与収入100万円以下
改正後:給与収入110万円以下
いかがでしたでしょうか。
なお、今回の改正は社会保険の加入要件には影響しません。そのため、ご家族の方の働き方を考える際は、所得税や住民税だけでなく、社会保険についても考慮の上、ご検討いただければと思います。
ご不明点等ございましたら、お気軽にチェスナットまでお問い合わせください。