2020年11月18日
皆さま、こんにちは!
2020年はオリンピックイヤーと楽しみにしていましたが、すっかりwithコロナの年となり、新型コロナウイルスに関する様々な助成金の支給が始まりました。
そこで今回の経理トピックでは、助成金の仕訳の注意事項についてお伝えします。
1.消費税課税区分
助成金は基本的に「雑収入」(消費税不課税)で計上します。
普段から仕訳業務において消費税課税区分の判断をしているかと思いますが、
紛らわしい課税区分である「不課税」と「非課税」について改めて確認します。
●不課税取引
消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引となり、これに当たらない取引が不課税取引となります。
具体例は下記の通りです。※消費税基本通達より抜粋
1) 給与、賃金
2) 寄付金、祝金、見舞金、補助金等
※助成金も2)に該当し、消費税基本通達5-2-15「特定の政策目的の実現を図るための給付金は資産の譲渡等の対価に該当しない」に基づき、不課税となる
3) 無償による試供品や見本品の提供
4) 保険金や共済金
5) 株主の配当金やその他の出資分配金
6) 資産の廃棄、盗難や滅失
7) 心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金
●非課税取引
対価を得て行う資産の譲渡等であっても、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から消費税を課税しない取引のことを非課税取引といいます。
具体例は下記の通りです。※消費税基本通達より抜粋
1) 土地の譲渡及び貸付
2) 有価証券等の譲渡
3) 支払手段の譲渡:銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形等
※収集品として譲渡する場合には非課税取引とならないので注意
4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供
5) 商品券、プリペイドカート等の物品切手等の譲渡
6) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
※一定の事務:登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書等
7) 社会保険医療の給付
8) 介護保険サービス、社会福祉事業等によるサービスの提供
9) 住宅の貸付
※契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの
2.助成金の計上時期
助成金は消費税においては不課税取引となりますが、
法人税・所得税においては「雑収入」で計上するため、課税対象となります。
基本的に助成金は支給決定通知書(支給額確定日)等に基づき、収益計上します。
ただし、コロナ関連助成金のうち「雇用調整助成金」については、計上時期に
注意が必要なため、例示でご紹介いたします。
●雇用調整助成金 計上時期の規定
法人税基本通達2-1-42「法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期」及び、所得税基本通達36・37共-48「法令に基づき交付を受ける給付金等の処理」に基づき、支給決定通知書が決算期を超えて到着したとしても、その原因となる経費支出がある事業年度に収益を計上する必要があります。
【国税庁HPより】
法人税基本通達2-1-42
所得税基本通達36・37共-48
●具体例
A社:9月決算、8-9月で雇用調整助成金10万円ずつ申請
1) 8月分の雇用調整助成金、9月に支給決定通知書着、9月入金
普通預金/雑収入 10万円
2) 9月分の雇用調整助成金、10月に支給決定通知書着、10月入金
未収入金/雑収入 10万円
2)の決算期を跨いでいる場合は要注意です。
雇用調整助成金計上時期の規定に基づき9月分の雇用調整助成金は決算期における経費支出に該当する助成金であるため、未収入金で計上する必要があります。なお、支給額が具体的に確定していない場合でも、その金額を見積り、当該年度の益金の額に算入します。
つまり、雇用調整助成金申請をしている際には、決算仕訳をする際、再度内容と該当時期を確認することが大事になってきます。
3.最後に
今回の経理トピックでは助成金計上時の注意事項の概要をお伝えしました。
これを機に今一度、助成金の仕訳について確認してみてはいかがでしょうか?
ご不明点等ございましたら、ぜひチェスナットへお問い合わせください!
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