2018年10月12日
今回の経理トピックは、前回に引き続き経理の年次業務について(下半期:10月から3月まで) ご紹介いたします。
3月決算の株式会社を例に、今回は下半期の業務についてご説明いたします。
特に下半期は年1回の業務で期限が設けられているものが多く、さらに各所より資料を取り寄せる必要があったりするものが多いため早めの準備に取り掛かる必要があります。
注)申告期限・納期限が土曜日、日曜日、祝日の場合はその翌日が期限となります。
10月
- 中間決算
半年間(上半期:4月1日から9月30日まで)の業績をまとめます。この場合、9月30日を中間決算日といい中間決算期の準備をします。決算作業の内容は、月次決算の場合と基本的に同じですが、中間決算書を作成します。
中小企業では中間決算書作成は義務化されていませんが、金融機関より融資を受けている場合には提出を求められることが多いようです。また、自社の経営状況を定期的に把握し、経営に役立てることもできます。
11月
- 法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の中間納付
前年度の納付額に応じて中間納付が必要な場合があります。納付方法としては、①納付書の記載金額をそのまま納付する方法、②年度決算に準じた仮決算を行い、それに基づいた申告書を作成・提出することで実際の業績に対応した納税中間申告を行い納付する方法があります。どちらを選択するかは税務担当者に確認する必要があります。また、事前に納税資金が充足しているかもあわせて確認しておきましょう。 - 年末調整の準備
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」および「給与所得者の配偶者控除申告書」を従業員に配布し、必要事項の記入と各種控除を受ける場合は“控除証明書”の添付をし、会社に提出してもらいます。また、年の途中に入社した従業員については前職の源泉徴収票の添付が必要です。書類を過不足なく集められるよう、早めの提出を促します。
12月
- 固定資産税・償却資産税の納付(3期)
- 年末調整
その年の最後に支給する給与にて所得税の精算を行います。
給与データと従業員に提出してもらった「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」および「給与所得者の配偶者控除申告書」にて給与にかかる税金を再計算し過不足額の精算を行います。
1月
- 源泉所得税の納付(納期の特例の適用を受けている場合、1/20まで)
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の提出(1/31まで)
源泉徴収票(給与所得と退職所得)、支払調書(報酬・料金・契約金及び賞金、不動産の使用料等、不動産等の譲受の対価、不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料)について記載し提出 - 給与支払報告書の提出(1/31まで)
前年の1月1日から12月31日までの給与支払額を翌1月1日時点で給与を受け取った人が居住する市区町村へ提出
上記の手続きについては12月に記載した “年末調整” が関連します。年末調整が終わらないと申告書の作成・納付ができませんのでご注意ください。
- 償却資産申告書の提出(1/31まで)
→毎年1月1日現在所有し事業の用に供することができる、土地及び家屋以外の資産を申告します。但し、申告対象となる資産・ならない資産がありますので注意が必要です。 - 経営計画の策定
すでに決算前数か月の “節税対策” として計画を行う企業はおありかと思いますが、長いスパン(単年度や3~5年の中期)で 「未来の経営イメージを数値化」し、会社を安全に成長させていくための計画を立ていくことも必要です。
比較的規模の大きな企業がすることと思われがちですが、中小企業にであっても必要な業務といえます。策定方法のひとつとしては過去のデータを活用し経営計画を策定する方法があります。
2月
- 固定資産税・償却資産税の納付(4期)
- 消費税の四半期申告及び納付(年4回納付の場合)
3月
- 実地棚卸
決算日現在に残っている商品や製品などの在庫の数量をかぞえ、在庫の金額がどれだけあるかを計算します。 - 決算に向けての準備
以上、上半期と下半期2回に分けて経理の年次業務を説明しました。
年1回の作業は前回どのように行ったか思い出すのに時間が掛かってしまったりすることがあります。
その時期になって慌てないよう、年間スケジュールを立て比較的余裕のある時期にできることは取り掛かれるようにしていきたいですね。