お役立ち情報 

第54回:「印鑑の基礎知識」について

2017年12月6日

今回の経理トピックは、印鑑の基礎知識について、ご紹介させていただきます。

経理の仕事でも毎日のように使用する印鑑。実印、銀行印、社印などいろいろな種類があります。身近にあり、普段あまり意識せずに使用している印鑑ですが、いざと言うときとても重要な役割を持っている印鑑についての基礎知識をまとめてみましょう。

一般的に会社で使用する印鑑には次のようなものがあります。

■代表者印(実印)

会社の本店がある場所を管轄する法務局に「代表の印」として登録あるもので、会社にとってもっとも大切な印鑑です。
一般的に「○〇株式会社 代表取締役之印」と彫られていて、丸いため「丸印」とよばれることもあります。大きさは一辺の長さが1cm超え、3cm以内の正方形に収まるものでなければいけません。
法務局での登録が終わると印鑑カードが発行され、このカードを利用して印鑑証明書の交付を受けられます。

■銀行印

金融機関に口座開設の際に必要な印鑑です。銀行関係の書類、小切手や手形などに捺して使用します。直接金銭を動かせるだけに、重要な印鑑です。

■社印(角印)

会社の認め印的な存在の印鑑です。
「〇〇株式会社之印」等と正方形に彫ったものが多く、四角いので「角印」とも呼ばれますが、「会社印」「社判」と呼ばれることもあります。大きさは一辺が2cmから3㎝の正方形が一般的です。
社印は、書類に記名された社名の上に重ねて捺印しましたり、代表者印と併せて使われることもあり、社外に出す文書、請求書、納品書、見積書や領収書に使用します。

上記のようにハンコにはいろいろな種類があり、使い方によってさまざまな捺し方があります。

■ハンコ押し方と、署名捺印と記名押印の違い

では、基本的なハンコの捺し方についてお話します。
ハンコを捺す位置は、署名捺印(記名押印)する場合、氏名のすぐ後ろに捺します。離れた位置に捺すと別人が捺したのでは?と誤解をされる場合があります。
また、ハンコを捺す場合、捺された印影と印鑑証明の印影を照合する必要のある書類等は重ならないように捺しましょう。
契約書を作成する場合、自分の名前を記す方法として、署名と記名があります。
署名は直筆で氏名をする方法です。筆跡鑑定を行えば署名した本人が契約した証拠として証拠能力は極めて高くなります。
一方記名は自署以外の方法で氏名を記載する方法です。例えば代筆や、ゴム印を捺したもの、パソコンで印刷する場合などです。署名に比べて証拠能力は低くなりますが、記名に押印を加えることによって署名に代えることが出来ます。

■契印

契印とは複数ページの文書があるときに、その文書の各ページの境目に押した印影のことを言います。これはその文書が一連のもので、勝手に追加されたり、差し替えられたりしていないことを防ぐ意味があります。

■割印

割印とは2つの文書にまたがって押す、縦長のハンコを言います。2つの文書が各々関連したものであることを示す際に使います。具体的には2通の契約書に割印を押すことで、その2通の契約書が同じ時に作られた同内容の契約書であることの証明になります。

■捨印

捨印とは文書の余白に押された印影のことです。これは押した人が自分の了解を得ずに、ある程度まで文書の内容を訂正しても構わないという権限を与えることを意味しています。

■最後に

会社のハンコは、その会社の行為の責任を示すものになります。印鑑の種類やその効果を理解して、思わぬトラブルなどに巻き込まれないようにしましょう!