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第262回:令和8年労働基準法改正

2025年10月15日

皆さま、こんにちは。
今年も暑い日々が続いておりましたが、このところ、めっきり涼しくなって、季節の移り変わりを感じる時期になりました。体がついていかないこともあると思いますが、無理せず、衣替えに意識を向けてみてはいかがでしょうか。

さて、今月の労務トピックは「2026年の労働基準法改正について」です。2026年は、労働基準法をはじめとする複数の労働関連法令が大きく改正される予定です。働き方改革の一環として、企業には就業規則の見直しや社内体制の整備が求められます。以下に主な改正ポイントをご紹介します。

 

労働基準法(2026年予定)

① 連続勤務の上限規制

14日以上の連続勤務が禁止されます。健康管理の観点から、定期的な休日の確保が義務化されます。

② 法定休日の明確化義務

就業規則等で「どの日が法定休日か」を明示する必要があります。曖昧な表現は認められなくなります。

③ 勤務間インターバル制度の義務化

退社から次の出社まで一定時間の休息を確保する制度が義務化されます。残業後の翌朝出勤時間の調整などが必要になります。

④ 有給休暇時の賃金算定方法の見直し

有給取得時の給与は「通常賃金方式」が原則となり、所定労働時間分の賃金支払いが求められます。

⑤ 副業・兼業者の割増賃金通算廃止

本業と副業の労働時間を通算して割増賃金を計算するルールが廃止され、各事業主ごとの計算に変更されます。

労働安全衛生法(2026年4月施行)

① ストレスチェック義務化(50人未満の事業所も対象)

50人未満の社員数の事業所もストレスチェックの義務化が始まります。
年1回以上、労働者の心理的負担を把握するための検査(ストレスチェック)を実施。
産業医がいない場合でも外部委託などで実施体制を整えましょう。

② 化学物質管理の強化(表示・SDS交付対象の拡大)

労働者が取り扱う化学物質に対してラベル表示が義務付けられます。

公益通報者保護法の改正(2026年中施行)

① 内部通報者への不当解雇・懲戒への罰則強化

通報後1年以内に行われた解雇や懲戒は、公益通報を理由としたものと推定されます。
社内通報制度の整備と対応フローの明確化が求められます。

労働施策総合推進法の改正(2026年10月頃施行)

① カスタマーハラスメント対策の義務化

顧客・取引先などの利害関係者による言動で、社会通念上、許容される範囲を超えており、労働者の就業環境を害するものがカスハラに該当します。企業は予防策・対応体制の整備が必要になります。

企業が今から準備すべきこと

① 就業規則の改定

法定休日を特定しておく・インターバル制度について明文化、年次有給休暇の賃金支払い方法、ストレスチェック制度についてなど

② 勤怠・給与システムの見直し

③ 安全衛生体制の強化

ストレスチェック体制、化学物質管理の実施

 

2026年の法改正は、企業の信頼構築とリスク回避の好機です。早めの準備で、安心・安全な職場づくりを進めましょう!