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第257回:2025年4月改正 キャリアアップ助成金

2025年5月20日

新年度から早1ヶ月経過の5月。今月の労務トピックは、2025年4月より支給対象者や助成額が大きく変化したことから、キャリアアップ助成金についてご説明します。

非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、キャリアアップ助成金があります。この助成金は、正社員転換、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対し、助成金が支給される制度です。次の通りの改正がありました。

 

正社員化コース

キャリアアップ助成金の正社員化コースとは、有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換等した場合に助成金が支給されるものです。一律の額となっていた労働者について、2025年4月1日以降は、以下のように「重点支援対象者」とそれ以外に分けて助成されます。

【重点支援対象者】1人当たり
有期 → 正規 80万円(60万円)
無期 → 正規 40万円(30万円)
【重点支援対象者以外】1人当たり
有期 → 正規 40万円(30万円)
無期 → 正規 20万円(15万円)
※()内はいずれも大企業の助成額

「重点支援対象者」とは、以下のa~cのいずれかに該当する労働者を指します。

a.雇入れから3年以上の有期雇用労働者
b.雇入れから3年未満で、次の(1)(2)いずれにも該当する有期雇用労働者
(1)過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
(2)過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
c.派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

なお、雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については、無期雇用労働者とみなされます。

 

賃金規定等改定コース

賃金規定等改定コースでは、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、適用させた場合に助成金が支給されるものです。増額幅が3%以上5%未満と、5%以上の2つに区分されていたものについて、下表のように変更が行われています。4%未満の改定については助成額が縮小した一方で、6%以上の改定について助成額が拡大しています。

賃金引き上げ率 助成額(1人当たり)
3%以上4%未満  4万円(2.6万円)
4%以上5%未満  5万円(3.3万円)
5%以上6%未満 6.5万円(4.3万円)
6%以上      7万円 (4.6万円)
※()内はいずれも大企業の助成額

また、有期雇用労働者等の昇給制度を新たに設けた場合、1事業所当たり1回のみ20万円(大企業は15万円)を加算する措置が新設されました。

 

キャリアアップ助成金を利用する場合、各コースの取り組み実施日の前日までに管轄の労働局長にキャリアアップ計画書を提出し、認定を受ける必要がありましたが、2025年4月1日以降は、届け出のみになりました。活用を検討される場合は、キャリアアップ計画書の作成から進めましょう。
キャリアアップ助成金は、「社員育成」が「受給」につながる助成金です。給与計算と合わせて、もう少し詳しく聞きたいなどございましたらチェスナットへ是非お問い合わせ下さい。