2024年9月13日
皆さま、こんにちは。
今月の税務会計トピックは、「中小企業投資促進税制」について、わかりやすく解説します。
●中小企業投資促進税制とは?
中小企業投資促進税制は、中小企業が設備投資を行う際に、税制上の優遇措置を受けることができる制度です。具体的には、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を選択して適用することができます。
この制度は、令和6年度末(2025年3月31日)までが適用期限です。
●なぜこの制度があるの?
この制度の目的は、中小企業の皆様が積極的に設備投資を行い、生産性の向上や事業の拡大を図ることを支援することです。設備投資は、企業の競争力強化に不可欠ですが、初期費用がかかるため、中小企業にとっては大きな負担となることがあります。この制度を利用することで、税負担を軽減し、設備投資のハードルを下げることができます。
●どのような場合に利用できるの?
この制度を利用できるのは、一定の中小企業者や個人事業主の方が、要件を満たす設備投資を行った場合です。
【対象となる設備】
◆機械および装置
生産活動に直接利用される機械や装置が対象です。例えば、製造業であれば生産ラインの機械、建設業であれば重機などが挙げられます。ただし、1台あたりの取得価額が160万円を以上のものが対象となります。
◆測定工具および測定器具
製品の品質管理の向上等に資する測定工具および検査工具で、1台あたりの取得価額が30万円以上で、かつ複数台の合計が120万円以上のものが対象となります。
◆特定のソフトウェア
生産管理システムや設計ソフトウェアなど、生産活動に直接的に利用されるソフトウェアが対象となります。
◆貨物自動車
車両総重量3.5トン以上が対象となります。
【対象とならない設備】
◆中古品
新品の設備が対象であり、中古品は対象外となります。
◆貸付の用に供する設備
リースなど、他の者に貸し出すことを目的とした設備は対象外となります。
◆匿名組合契約等の目的である事業の用に供する設備
匿名組合契約など、特定の契約の目的である事業に利用する設備は対象外となります。
◆コインランドリー業の機械装置
主要な事業であるものを除き、コインランドリー業で利用される機械装置は対象外となります。
【対象となる事業】
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、小売業等、多くの業種が対象となります。
●どのようなメリットがあるの?
【特別償却】
取得した設備の取得価額の30%を、当期の所得から控除することができます。
◆メリット
所得税額または法人税額を大幅に減らすことができる
取得年度に多額の償却額を利用できるため、課税所得を圧縮することができる
課税所得が発生しない赤字の事業年度でも適用することができる
◆デメリット
短期的な税負担は軽減することができるが、翌年以降の償却額が少なくなるため、長期的な効果は限定的となる
【税額控除】(個人事業主、資本金3,000万円以下の中小企業者に限る)
当期の所得税額または法人税額から、取得価額の7%を控除することができます。
◆メリット
通常の消却額と一定の税額控除の両方が適用され、実質的に税額を抑えられる
◆デメリット
取得年度は、特別償却に比べて税金が減る金額が少ない
●どちらを選べばいいの?
特別償却と税額控除、どちらを選ぶべきかは、企業の状況や税金対策によって異なります。どちらを選ぶか迷った場合は、チェスナットにご相談ください。
●まとめ
中小企業投資促進税制は、中小企業の皆様が設備投資を行う際に、大きなメリットをもたらす制度です。制度の詳細は複雑な部分もありますが、税理士にご相談いただければ、最適な税務対策を立てることができます。
設備投資を検討されている方は、チェスナットにご相談いただき、自社の状況に合った設備投資計画を立てて、ぜひこの制度をご活用ください。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
※この情報は一般的なものであり、個々の企業の状況によって適用される税制は異なります。
中小企業庁「中小企業投資促進税制」