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第237回:在宅勤務手当に関する取扱い

2024年7月22日

皆さま、こんにちは。
本格的に梅雨が始まりました。私の家の近所ではカエルの大合唱です。本当に雨が大好きなのですね。私たち人間は、体調管理に気を付けましょう!
今回の労務トピックは、今後も活用が求められている在宅勤務者へ給与で支給する「在宅勤務手当」の取り扱いをご紹介します。

 

社会保険の取扱い

日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取り扱いに関する事例集」において、社会保険の報酬や賞与(以下、「報酬等」という)に該当するか否かは、在宅勤務手当が実費弁償に当たるかどうかによって判断する必要があります。

例えば、業務に使用するパソコンの購入や通信に要する費用を会社が従業員に支払う場合、その手当が業務遂行に必要な費用にかかる実費分に対応するものであれば、実費弁償に当たるものとして報酬等に含まれません

 

割増賃金の取扱い

割増賃金の基礎となる賃金(以下、「割増算定基礎賃金」という)には、家族手当、通勤手当、別居手当等の7つの除外賃金が定められており、除外賃金以外の賃金は割増算定基礎賃金に算入する必要があります。

 

在宅勤務手当は、これまで除外賃金に含まれていませんでしたが、厚生労働省は「割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて」(令和6年4月5日基発0405第6号)を通知し、在宅勤務手当が事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されている場合には、労働基準法上の「賃金」には該当せず、割増算定基礎賃金への算入は不要としました。

「実費を弁償するもの」とは、事務用品等購入費用、通信費(電話料金、インターネット接続に係る通信料)、電気料金、レンタルオフィスの利用料金などとなり、在宅勤務の勤務時間などの実態を踏まえた合理的・客観的な計算方法となります。

 

所得税の取扱い

所得税については、国税庁から「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公開されており、その中で「在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません」と示されています。

 

まとめ

言い回しが多少異なりますが、それらが「実費経費の支給」であれば上述のようにそれぞれの項目で対象外となり、「渡し切りの賃金」、つまり返還の必要がない賃金に関してはすべて報酬となり、課税対象となります。

例えば1日あたり5,000円を渡し切りで支給する場合は、実費を弁償するものには該当せず、「社会保険法上の報酬」となり、「労働基準法上の割増賃金の対象」となり、「所得税法上の課税」にも含まれます

 

 

いかがでしたでしょうか。

在宅勤務手当を導入している、またはこれから導入をお考えの場合は、給与計算上の取り扱いを十分ご確認ください。

 

詳しく聞きたいことなどございましたら、チェスナットへ是非お問い合わせください。

 

(参考URL)

日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」

厚生労働省「割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて」

国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」