2024年7月1日
皆さま、こんにちは。
今年の梅雨入りは例年よりも遅いそうです。
季節の変わり目ですので、皆さまも体調管理にはお気を付けください。
給与計算の際に円未満の端数が出ることがあります。端数を四捨五入、切捨て、切上げなど思いつきますが、どの方法が正しいでしょうか。今回の労務トピックでは、給与計算の端数処理について法律ではどのように定められているか説明します。
労働基準法第24条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められている為、端数の切捨ては原則認められていません。
- 労働時間の端数処理
原則として、労働時間は1分単位で集計しなければなりません。1日単位で労働時間を端数処理する場合は、端数をすべて切上げなければなりません。
ただし、1か月の残業時間(時間外、休日、深夜)の端数処理は、各々の1か月の合計時間数に30分未満の端数がある場合は、切捨てが可能です。
- 割増賃金の端数処理
労働基準法では、「1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げる。」と定められています。
また、「1か月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合も同様に処理する」と定められています。
50銭未満の端数は切捨てが認められていますが、従業員に有利になる切上げを採用している企業も多いです。
【例】
1ヶ月の所定賃金額:230,000円
1ヶ月の(平均)所定労働時間数:168時間の場合
1時間あたりの賃金額=230,000÷168時間=1,369.0476…
1.50銭未満の端数の切り捨てを行うと、1時間あたりの賃金額:1,369円
2. 1円未満の端数の切り上げを行うと、1時間あたりの賃金額:1,370円
- 遅刻、早退時間の端数処理
割増賃金の端数処理は従業員に有利になるように50銭未満の端数は切上げをしていますが、遅刻や早退時の端数を同様に切上げた場合、法律で定められた以上に控除をしている為、従業員に不利になります。
端数の切上げ、切捨て処理をする際は、「従業員にとって不利益にならないか」を考える必要があります。
いかがでしたでしょうか。
法律では端数処理の定めがあります。給与計算システムやエクセルの設定が法律に基づいた端数処理設定になっているか確認しましょう。
もう少し詳しく聞きたい、などございましたらチェスナットへ是非お問い合わせ下さい。
(参考URL)
厚生労働省「残業手当等の端数処理はどうしたらよいか」
3.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか | 東京労働局 (mhlw.go.jp)
リーフレット「労働時間の切り捨て」