2024年1月19日
皆さま、こんにちは。
令和6年1月1日より完全義務化される電子取引データの保存について、対応準備に追われている方も多いと思いますが、お困りごとはありませんか。
◆電子取引の電子データ(電磁的記録)の保存制度の概要
所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び、法人税に係る国税関係帳簿書類の保存義務者は、電子取引を行った場合には一定の要件の下で、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています。(電子帳簿保存法7)
(※注)「電子取引」とは、取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項を言います。)の授受を電磁的方式により行う取引をいい、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合も含みます)、インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じて取引情報を授受する取引等が含まれます。
令和6年1月施行前後で電子取引データの保存範囲は変わりませんが、保存制度が緩和される等、以前に比べ対応しやすいように改正されています。
今回は、国税庁より公表された電子取引の「お問合わせの多いご質問(令和5年12月)」で新たに追加された3問をご紹介します。
1.正式な見積書前の粗々なものなどは保存不要
「見積書」の名称の書類であっても「連絡ミスによる誤りや単純な書き損じ等があるもの」、「事業の検討段階で作成された、正式な見積書前の粗々なもの」、「取引を希望する会社から一方的に送られてくる見積書」などの保存は不要としています。
2.サイト上で確認できれば領収書等データのダウンロードは不要
ECサイトで商品などを購入した場合、インターネット上でその領収書等データの取引情報を確認できることとなった時点で電子取引の授受があったと考えます。
そのため、ECサイトを利用し商品等を購入した場合に、そのECサイト上で領収書等データの取引情報を確認できるようになった時点で、電子取引に係る保存義務者である商品等の購入者は、その領収書等データの電子保存が必要となりますが、ECサイト上で領収書等データの確認が随時可能な状態である場合には、その領収書等データを必ずしもダウンロードして保存していなくても差し支えありません。
ただし、この取り扱いは、ECサイト側において、電子取引に係る保存義務者である商品等の購入者が満たすべき検索要件等を満たしている場合に適用できます。
他方、「税務調査で電子データの提示等の求めに応じることができ、かつ、基準期間(通常2年前)の売上高が5,000万円以下又は電子データを出力した書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものを提示・提出できるようにしている場合」は、検索要件が不要となるため、ECサイト上の購入者の購入情報を管理するページで検索要件が満たされている必要はありません。
なお、税法に定められた保存期間が満了するまで、ECサイト上で領収書等データの確認が随時可能な状態である必要があるため、保存期間が満了する前にECサイト上で領収書等のデータの確認ができなくなる場合には、その前に、その分の領収書等データをダウンロードして保存する対応が必要となります。
3.ETC利用証明書はダウンロード分のみ電子保存が必要
帳簿書類の保存義務の前提として、申告納税制度の下で適正な申告を実現するためには納税者による日々の取引に関する記録の保存が重要であり、取引に関して受領した領収書等の書類は、法人税及び所得税法上、保存する義務があります。
高速道路の利用に係るETCの利用証明書については、必要に応じて、利用者が自ら必要な範囲を指定してウェブ上で発行してもらうものであり、必ずしも利用証明書のすべてを受領しているものではないため、あえてダウンロードして保存する必要ありません。
ただし、消費税の仕入税額控除の適用を受けるために利用証明書の発行を受けた(ダウンロードした)場合、そのダウンロードした書類は、電子取引に係る電子データとして保存が必要となるので注意が必要です。
これからは電磁的記録に役立つシステムも活用しながら電子取引の紙保存廃止に対応していく必要があります。
システム導入をお考えの方や、電子帳簿保存法について、何かご不明な点がありましたら、チェスナットへお気軽にお問合せください。
参考
国税庁「お問合せの多いご質問(令和5年12月)」
国税庁「電子帳簿保存法一問一答」
00023006-044_03-5.pdf (nta.go.jp)
国税庁「電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法」
0023006-085_01.pdf (nta.go.jp)