2023年10月17日
皆さま、こんにちは。
10月に入りますが、暑さがようやく収まり涼しくなる気配です。これから寒暖差が激しくなることが想定されますので、体調管理には気をつけて参りましょう!
今回は、9/27(水)に全世代型社会保障構築本部にて、「年収の壁・支援強化パッケージ」が決定されました。こちらをご説明します。
- 現状の課題
労働者の配偶者として扶養され、社会保険料の負担がない被扶養者の約4割が就労していますが、その中には一定以上の収入となった場合の社会保険料の発生などによる手取り収入の減少を理由として就業調整をしている実態があります。これは、いわゆる「106万、130万の壁」と呼ばれています。
- 106万の壁とは
社会保険の適用拡大により100人以上の事業所の社員は毎月8.8万円以上の給与になると、
社会保険に加入する必要が生じます。8.8万円*12か月=105.6万円、から106万円の壁と呼ばれます。
2024年10月からは適用拡大により、この範囲が、50人以上の事業所に範囲が拡大されます。
- 106万の壁対策①:キャリアアップ助成金のコースの新設
短時間労働者が新たに社会保険の適用となるにあたり、手取り額が減少しないように労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対して、一定期間助成を行う予定です。
賃金の15%以上分を労働者に継続して追加支給し、3年目には賃金の18%以上に増額させた場合、最大50万円の受給が可能となります。
加えて、所定労働時間の延長により賃金が一定以上の増額となった場合に、30万円の受給が可能となります。令和7年度末までに行った取組が対象となります。
- 106万の壁対策②:社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外
標準報酬月額が10.4万円以下の者(月給107,000円未満)が新たに社会保険の適用となった場合に、事業主は当該労働者に対し、給与・賞与とは別に「社会保険適用促進手当」を支給することが出来るようになります。
これは、社会保険の適用に係る労使双方の保険料負担を軽減する観点から、社会保険適用に伴う労働者本人負担分の保険料相当額を上限として、最大2年間、当該労働者の標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しません。
- 130万の壁とは
社会保険の扶養の範囲内は収入が130万円未満の配偶者です。130万の壁を超えると社会保険の扶養から外れ、社会保険に加入することになります。
- 130万の壁対策③:事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
社会保険の被扶養者の認定に当たっては、認定対象者の年間収入が130万円未満であること等が要件とされていますが、残業等によって一時的に収入が増加し、直近の収入に基づく年収の見込みが130万円以上となる場合においても、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで迅速な被扶養者認定が可能となります。
- まとめ
10月は最低賃金がUPし、より労働者の確保が難しくなっている昨今ですが、年収の壁強化パッケージは、その効果的な対策となるのでしょうか。国としては社会保険料財源確保の意味合いも大きいように感じます。
個人的には、パート労働者の就労を支援したいということであれば、新たに社会保険適用となった社員の社会保険料を一定期間免除するなどの大きな対策の方が国民にもメッセージが伝わりやすいように考えます。
これらの対策は、社会保険被扶養者としての恩恵を受けない方からすると、更なる不公平に映るとの意見もあり、まだまだ国会で議論され、内容に変更があるように思います。引き続き進捗を追いかけて、共有して参ります。気になる点はチェスナットまで、お気軽にお問合せください。
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