2023年5月17日
皆さま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
私は散歩が趣味なのですが、外を歩くと、風が心地よい季節になりましたね。
マスクも外すことができ、以前とは見える風景も違ってきました!
さて、今月の労務トピックは、令和5年5月まで取組強化期間となる「同一労働同一賃金」についてお話します。
厚生労働省は、令和5年3月15日から令和5年5月31日までを、「同一労働同一賃金 取組強化期間」とし、「同一労働同一賃金」遵守の徹底に向けた取組を集中的に行うことを発表しました。
現在、大企業を中心に令和5年4月からの賃上げの流れが出てきており、「同一労働同一賃金 取組強化」は、その賃金引上げの流れを中小企業・小規模事業の従業員や非正規雇用労働者に波及させることを目指しています。
この取組強化で注目すべきは「労働基準監督署と都道府県労働局が連携した同一労働同一賃金の徹底」です。労働基準監督署がかかわってくることで、何が変わるのでしょうか。
- 同一労働同一賃金とは
「同一労働同一賃金」は、働き方改革の柱の一つとして令和3年4月から適用されました。
いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇の差を解消するための取り組みです。
どのような雇用形態であっても納得が得られる処遇を受けられ、色々な働き方を自由に選択できるようにすることが目的です。
※明確な理由があれば、パートタイマーと正社員とで待遇に差があっても認められます。
- 労働局と労働基準監督署の違い
労働局とは、厚生労働省の組織内における、労働基準監督署の上流機関です。
労働基準行政、労働安全衛生行政、雇用均等行政を運営し、労働に関する労働者と事業主の支援を行います。
企業と労働者の間の、労働条件や職場環境に関するトラブルや紛争などに対して、相談や助言、指導、斡旋といった対応をします。
一方、労働基準監督署は、厚生労働省の出先機関です。
労働基準法や労働契約法、労働組合法などの労働関係に関する法令を事業者に遵守させる役割を果たします。
個々労働者、使用者間のトラブルには労働局、事業者の労働基準法違反には労働基準監督署が対応します。
- どうして労働基準監督署が関わってくるのか
令和4年12月に厚生労働省は、非正規雇用労働者の待遇改善に向けた都道府県労働局と労働基準監督署の連携強化を打ち出しました。
連携強化以後は、全国300か所以上ある労働基準監督署が、定期監督等を利用して非正規雇用労働者の基本給や諸手当などの処遇について事実確認を行います。
労働基準監督署には、パート・有期雇用労働法による同一労働同一賃金に関する監督指導権限はありませんが、労働基準法に基づき、事業場などに立ち入り(「臨検」と言われています)、帳簿や書類の提出、使用者や労働者に対して尋問をする権限があります。
この臨検の中で、事実関係の確認を労働局に先立って行うことにより、違反を見つけやすくする狙いがあります。
労働局は労働基準監督署からの情報をもとに、対象企業の選定をします。短時間・有期雇用労働者の雇用管理改善を図る必要がある場合、パート・有期雇用労働法(または労働者派遣法)に基づいて報告徴収や助言・指導、勧告をします。
労働局と労働基準監督署との連携により、こういったケースが増える可能性があると考えられます。
- 同一労働同一賃金 重要な点はここです!
雇用形態によって、適用が分かれる制度は見直しが必要です。
働き方に差がある場合、厚生労働省が発行しているガイドラインにおいては、基本給・賞与、各種手当に「それぞれの趣旨・性格に照らして実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない」とあります。
例えば、業務の危険度や作業環境に応じて支給される特殊作業手当のような従事する業務に応じて適用される制度については、雇用形態にかかわらず適用とします。
一方、販売奨励金や管理職手当のように会社の業績などへの貢献に応じて適用される制度については、貢献度の差によって適用とします。
今一度、制度の実態を確認し、不合理な違いがないかを見直してみましょう。
- まとめ
生産性向上は、事業者の喫緊の課題。同一労働同一賃金を進めることで、仕事内容が整理され、従業員のモチベーション維持・向上を促します。加えて、正社員・時短正社員への転換の場合、キャリアアップ助成金が受給できます。どうぞお気軽に、専門家であるチェスナットにご相談くださいませ。
厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
同一労働同一賃金特集ページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
厚生労働省「『非正規雇用労働者の賃金引上げに向けた同一労働同一賃金の取組強化期間』(3/15~5/31)を設定します」
「非正規雇用労働者の賃金引上げに向けた同一労働同一賃金の取組強化期間」(3/15~5/31)を設定します|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
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