2023年5月15日
皆さま、こんにちは。
今回の税務会計トピックは、固定資産税の特例措置「先端設備等導入計画」についてお話しします。
赤字企業を含めた中小企業の前向きな投資や賃上げを後押しするため、自社の会計状況に関わらず(赤字黒字問わず)、設備投資に伴う負担を軽減する固定資産税の特例措置が、令和5年度税制改正により延長され、要件、特例率が変更となりました。
先端設備等導入計画とは、一定の中小企業者が、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。
この計画は、市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けている場合に、認定を受けることができ、認定を受けた場合は、税制支援や金融支援を受けることができます。
今回は、税制支援の内容及び制度活用の流れについてご紹介します。
- 税制支援(固定資産税の特例措置)
中小事業者等が認定を受けた【先端設備等導入計画】に基づき、適用期間内に一定の設備を取得した場合には、その設備に係る固定資産税の課税標準について、最初の3年間は1/2に軽減されます。
また、雇用者給与等支給額を1.5%以上増加させる賃上げ方針を策定して従業員に表明し、その旨を新規申請時の認定申請書に記載等することにより、次の取得日に応じた年数にわたり、固定資産税が1/3に軽減されます。
<設置取得日> <年数>
令和5年4月1日~令和6年3月31日→ 5年間
令和6年4月1日~令和7年3月31日→ 4年間
- 中小事業者等とは
対象となる中小事業者等とは、次のいずれかに該当する事業者を言います。
・資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人(大企業の子会社等を除く)
・資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
② 適用期間
令和5年4月1日~令和7年3月31日までの2年間となります。
- 税制支援対象となる一定の設備とは
年平均の投資利益率が5%以上と見込まれる投資計画に記載された、償却資産として課税される次の設備です。
ただし、市区町村によって異なる場合があります。
<設備の種類> <取得価格(1台1基又は一の取得価格)>
機械装置→ 160万円以上
工具、器具備品→ 30万円以上
建物附属設備→ 60万円以上
(家屋と一体で課税されるものは対象外)
- 制度活用の流れについて
~事前確認・準備~
- 中小事業者の規模、適用対象者の範囲や手続きを確認。
- 新規に導入する設備を設置(所在)する市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けているか確認。
(中小企業庁HPで公表しております)
→同意を受けていない市区町村では認定が受けられません。
→認定の対象範囲は市区町村によって異なるため、対象業種、対象資産などの詳細は市区町村へ確認してください。
- 対象設備の導入時期の確認
→すでに取得した設備は対象外となります(認定後に設備を取得する必要があります)。
→認定事務に一定期間要する場合があるため、余裕を持った計画の策定が必要です。
~先端設備等導入計画の作成~
①申請先の市区町村が策定した「導入促進基本計画」に沿っているか確認
- 様式は問題ないか確認
→【先端設備導入計画】の様式が、申請先の市区町村が求めている様式に沿っているか確認
市区町村によっては、様式が異なる場合があるため、注意が必要です。
- 新規取得設備に係る投資計画を策定
→賃上げ方針を計画に位置付ける場合は、従業員に対して賃上げ表明を行います。
~認定経営革新等支援機関に確認を依頼~
- 税制支援を受ける場合は、【先端設備等導入計画】の事前確認とともに投資計画の確認も依頼が必要です。
→認定経営革新等支援機関から内容の確認後、それぞれ確認書が交付されます。
~申請~
①市区町村長宛てに、【先端設備導入計画】に関する事前確認書及び、投資計画に関する確認書を添付し認定申請書を提出
→賃上げ方針を策定して表明した場合は、その表明を証する書面の添付を忘れずに行います。
→認定を受けた場合、市区町村長から認定書が交付されます。
~申請のポイント~
対象となる中小企業者の定義は、中小企業等経営強化法に定められていますが、市区町村が定める「導入促進基本計画」によって異なる場合がありますので、事前に申請先の市区町村に詳細を確認するようにしましょう。
詳しい内容については、中小企業庁のHP【先端設備等導入計画策定の手引き(令和5年4月版)】をご参照ください。
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