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第201回:インボイス制度の実施に伴うソフトウェア改修費用の取扱いについて

2023年3月14日

皆さま、こんにちは。

インボイス制度が施行される10月1日まで残り約半年となり、インボイス登録事業者番号の取得だけではなく、インボイス制度下における運用方法を検討されている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、インボイス制度に対応するためのソフトウェア改修費用の取扱いについてご紹介します。

 

まず、取得価格が10万円以上のソフトウェアは無形固定資産として資産計上する必要があります。そして、業務で使用しているソフトウェアにつきプログラムの修正等を行った場合において、その修正がプログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその費用は修繕費に該当し、経費として計上することができます。

一方で、その修正が新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその費用は資本的支出に該当することになり、資産として計上する必要があります。

 

会計システムや請求書の発行管理システム等を導入している会社がインボイス制度に対応するためにソフトウェアの改修を行った場合、その改修が修繕費(経費計上)か資本的支出(資産計上)のどちらに該当するのか、国税庁に例が掲載されておりますので、ご紹介します。

 

  1. 修繕費(経費計上)に該当する改修

a現行の請求書等のフォーマットに登録番号、軽減税率の対象品目である場合はその旨、税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)、適用税率及び消費税額等を追加するもの

b  積上げ計算方式による仕入税額の計算に対応するため、集計方法などの税額計算の要素につきインボイス制度に対応する仕様変更等をするもの

 

上記のような修正は、インボイス制度の実施に伴い、現在使用しているソフトウェアの効用を維持するために必要な変更であり、新たな機能の追加、機能の向上等には該当しませんので、その費用は修繕費として取り扱われます。

 

  1. 資本的支出(資産計上)に該当する改修

a  受発注システム上で受領し、又は取り込んだ請求書に記載された取引先の登録番号と国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトに公表されている情報を自動で照合し、確認する機能を新たに搭載するもの

b  これまでシステムで作成した請求書等を紙媒体で出力し交付していたものを、電子交付まで自動で行えるよう仕様変更するもの

 

上記のような修正は、現状の効用の維持等にはあたらず、新たな機能の追加、機能の向上に該当するため、その費用は資本的支出として取り扱われます。

 

ただし、資本的支出であっても、修正に要した費用が20万円に満たない場合や、当該費用のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合に、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として取り扱って差し支えありません。

・その金額が60万円に満たない場合

・その金額が、修正に係るソフトウェアの前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合

 

いかがでしたでしょうか。実際には上記以外の改修なども行われる可能性があるかと思います。改修にかかる費用が20万円未満であれば、上記の取り扱いを気にせず、修繕費として計上しても問題ありません。改修にかかる費用が20万円以上の場合には、ソフトウェアの改修内容を確認の上、修繕費か資本的支出かを判断する必要があります。

 

インボイス制度対応に向けて何かご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

参考

国税庁「資本的支出と修繕費等」

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/07.htm

国税庁「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/shouhizei_invoice/index.htm

 

 
 

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