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第171回:「欠損金の繰戻し還付」 について

2022年5月18日

皆さま、こんにちは。

新型コロナウイルスによる行動制限が解除されましたが、まだまだコロナ前の業績に戻らず大変な企業もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

青色申告法人において認められている「欠損金の繰越控除」はご存知の方も多いかと思いますが、中小企業者に関しては赤字になった事業年度に、前期に納付した法人税の還付が受けられる「欠損金の繰戻し還付」という制度があることはご存知でしょうか。

今回は、その「欠損金の繰戻し還付」について解説します。

 

【欠損金の繰戻し還付】とは…

青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合に、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税額の還付を請求できるものです。

 

1. 繰戻還付の適用要件

繰戻し還付を受けるためには、下記の要件3つ全てを満たしている必要があります。

 

(1)還付所得事業年度※1から欠損事業年度※2の前事業年度までの各事業年度について、連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。

 

(2)欠損事業年度※2の青色申告書である確定申告書を、その提出期限までに提出していること。

 

(3)上記(2)の確定申告書と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出すること。

 

※1還付所得事業年度…前期

※2欠損事業年度…当期

 

2. 繰戻し還付が適用可能な「中小企業者」とは…

原則として、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人をいいます。

ただし、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係のある法人、その他一定の法人は除きます。

 

3. 還付金額の計算方法

還付金額 = 前期の法人税額 × 当期の欠損金額(分母が限度) ÷ 前期の所得金額

 

※還付金額は前期法人税額が限度です。納付した金額以上に還付を受けることはできません。

 

例:前期に100万円の法人税を納付していた法人(所得が300万)が当期に150万円の欠損となってしまったケースの還付金額

100万円(前期法人税額) × 150万円(当期欠損金額) ÷ 300万円(前期所得金額) = 50万円(還付金額)

※前提条件:前期と当期の事業年度は1年とする

 

4. 法人事業税・住民税の取扱い

法人事業税・住民税には欠損金の繰戻し還付の適用はありません。

これらにおいては、繰戻し還付適用前の欠損金が10年間の繰越控除となります。

 

5. 繰戻し還付の効果

・前期の法人税の還付を受けられるため、資金繰りが良くなる。

 

・赤字を過去に遡って相殺することができる。

 

 

以上、「欠損金の繰戻し還付」についての解説でした。

要件に当てはまる場合は適用を検討されてみてはいかがでしょうか。

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