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第159回:医療費控除について

2022年1月19日

皆さま、こんにちは。

 

今月の税務トピックでは、令和4年2月16日(水)より受付開始となります「確定申告」のうち、所得控除の一つである【医療費控除】にスポットをあててご紹介します。

 

1.確定申告と所得控除

確定申告とは、1年間の所得にかかる税金を計算し、国(税務署)に納めるべき税額を報告する手続きのことです。年に1回行うもので、1月1日~12月31日までの所得金額と納税額を計算し、翌年2月16日~3月15日のあいだに管轄の税務署に申告します。

確定申告を行う際に、該当の要件に当てはまる場合には、所得金額から一定額を差し引くことができます。この制度を「所得控除」と呼びます。所得控除は全部で15種類となっており、年末調整で控除可能なもの、確定申告を行う必要があるものと様々です。

 

2.医療費控除

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他親族(※1)のために支払った医療費が、一定額を超える場合に受けられる所得控除です。年末調整では控除できず、自身で確定申告を行います。

(※1)生計を一にする親族であれば控除の対象となります。

 

控除額は上限を200万円とし、以下の計算式にて求められた金額が対象となります。

<計算式>(実際に支払った医療費の合計額-⑴の金額)-⑵の金額

⑴保険金などで補てんされる金額(入院費給付金、高額療養費、出産育児一時金等)

⑵10万円(その年の総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%の金額)

 

要約すると、「給付金等充当後の医療費支払合計額(※2)が10万円を超えている場合」には、医療費控除の対象になるということです。

ご自身やご家族の入院、出産等大きな支払があった際はもちろんですが、毎月通院している、例年より受診回数が多かったなどの場合は、一度ご家族分を含めて計算されてみてはいかがでしょうか。

(※2)⑴保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。例えば、出産育児一時金42万円の補てんのうち、給付の目的となる出産費用(分娩費・入院費等)が30万円だった場合、差額の12万円はその他の医療費からは差し引きません。

 

3.医療費控除の対象となるもの・ならないもの

医師に支払った診療費、治療費はもちろんですが、その他にも医療費控除の対象となるものが多いことをご存じでしょうか。間違いやすいものや漏れやすいもの、意外なものを中心に、一例をご紹介いたします。

 

〈医療費控除の対象となるもの〉

・健康診断・人間ドック費用(重大な疾病が発見され、引き続き治療を受けることになった場合) ※異常が見つからなかった場合は対象外

・金歯・ポーセレンの義歯の挿入、インプラント、入れ歯の費用

・法律に規定する施術者による、治療のための施術 ※資格のない者による施術は対象外

・入院、通院(血液透析も含む)のためのバスや電車等の公共交通機関の交通費

・タクシー代(公共交通機関での移動が困難な場合、病状から見て必要と認められる場合、出産のための入退院時)

・人工授精にかかった費用、不妊治療の費用

 

〈医療費控除の対象とならないもの〉

・インフルエンザ等の予防接種代

・自己判断で受けた新型コロナウイルス感染症のPCR検査代

・歯列矯正の費用(容姿の美化)、歯のホワイトニング、歯石・歯垢の除去費用

・健康増進や疲労回復のためのマッサージ代、はり代

・自己希望による差額ベッド代

・入院・通院のための自家用車のガソリン代、駐車料金、高速道路料金

 

4.番外編:参考事例

番外編として、自身の事例をもとに、Q&Aをご紹介します。

Q.令和4年3月の出産にむけて、令和3年12月に入院費用25万円を支払いましたが、精算は未了(退院時に出産育児一時金と合算して充当され、差額は別途対応)となっています。この場合、確定申告は令和3年と令和4年のどちらで行えばよいでしょうか。

A.精算を行う令和4年に確定申告を行ってください。(蒲田税務署へ電話にて確認済み)

 

上記は筆者自身が実際に問い合わせを行った内容です。

こちらについて、No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁 (nta.go.jp)の「医療費控除の対象となる医療費の要件」において、「⑵その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)」と記載があります。

 

令和3年にお金を渡しているものの、実際に精算が行われるのは令和4年であり、現在は25万円を一旦病院へ預けている(前金)という処理になります。あくまで支払が完了するのは令和4年のため、確定申告は令和4年に行ってくださいとの回答でした。

 

このように、年度を越えて医療費を支払った場合には、金額によって控除の対象とならないケースや、翌年も確定申告を行う必要がある等が考えられるため注意が必要です。

似たような事例が国税庁のQ&Aにも記載されておりましたので、こちらもご参考ください。未払の医療費|国税庁 (nta.go.jp)

 

 

以上、今回は医療費控除についてご紹介しました。

 

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