2021年10月20日
皆さま、こんにちは!
ようやく緊急事態宣言が明けた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。夏も満喫できなかった方も多かったのではないでしょうか。気温の変化に負けず、体調万全に整え、今年もあと数ヶ月乗り越えていきましょう!
今月の労務トピックは、10月から改正される最低賃金とあわせて、最低賃金引上げ支援策としての「業務改善助成金」について説明します。
■最低賃金制度とは
最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。仮に最低賃金額より低い賃金を、労使合意の上で定めても、それは法律により無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。
なお、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。
また、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
■最低賃金の決定
最低賃金は最低賃金審議会において、賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分参考にしながら審議が行われ、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払い能力の3要素を考慮して決定または決定されることとなっています。
最低賃金審議会は厚生労働省に中央最低賃金審議会が、都道府県労働局に地方最低賃金審議会が置かれています。産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場労働者に適用される「地域別最低賃金」は、地方最低賃金審議会が審議し、都道府県労働局長が決定又は改定します。
<参考>厚生労働省HP:地域別最低賃金
一方、「特定(産業別)最低賃金」もあります。特定の産業について設定されている最低賃金です。関係労使が基幹的労働者を対象として、「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されており、全国で228件の最低賃金が定められています。
<参考>厚生労働省HP:特定(産業別)最低賃金
■最低賃金の適用対象者
「地域別最低賃金」は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、セーフティネットとして各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。
一方、「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます(18歳未満又は65歳以上の方、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方、その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方などには適用されません。)。
■最低賃金の対象となる賃金
労働者に支払われる賃金のうち、最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金(時給、日給、基本給、固定支払手当)です。残業代やボーナスは含まれませんので、注意が必要です。
■業務改善助成金 ※コロナ拡充措置があります!
中小企業事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金の引き上げを図るための制度です。(事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内及び事業場規模100人以下の事業場)
生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、生産性向上のための設備投資等にかかった費用に助成率を乗じて算出した額を助成します。(上限額あり)
(主な支給要件)
① 賃金引き上げ計画を策定すること(就業規則に規定する)
② 引き上げ後の賃金額を支払うこと
③ 生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと
④ 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと
なお、コロナ特例として前年又は前々年同期に比べ、30%以上減少している事業者は賃金を引き上げる労働者数「10人以上」の助成上限額を適用することができ、かつパソコン、スマホ、タブレット等の端末及び周辺機器(新規導入に限る)も設備対象となります。
<参考>厚生労働省HP:業務改善助成金
■まとめ
時給の社員様はもちろん、月給制の社員様も所定労働時間で割り出すと実は最低賃金を割り出してしまうなんてことも。しばらく見直していない場合は改めて検討頂いてもいいかもしれません。昇給額にお悩みの方はぜひチェスナットまでご相談ください。
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