2021年5月22日
皆さま、こんにちは。
新型コロナウイルスの勢いも収まらないため、最近は専らNetflixの韓国ドラマを見て、お家時間を楽しんでいます。
皆さまは、どのようなお家時間を過ごしていらっしゃいますか。
さて、今回の税務トピックは、新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金の収益計上時期を扱っていきます。
1.特別利子補給制度とは
(1)概要
日本政策金融公庫、商工組合中央金庫等の政府系金融機関から「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、「危機対応業務(危機対応融資)」等の特別利子補給の対象となる貸付により借入れを行った場合、一定の要件を満たす方に対し、貸付を受けた日から最長3年間にあたる利子相当額を無利子となるよう、一括で助成する制度のことです。
(2)貸付上限等対象範囲、利子補給金振込までの流れ
a利子補給制度対象範囲
・貸付上限金額:中小事業→3億円/国民事業→6,000万円
・利子補給対象期間:借入当初から最長3年間
※上限金額については2021年1月以降引き上げ後の金額となります。
b利子補給金振込までの流れ
申請→審査、交付決定後、対象期間分の利子補給金が一括で振り込まれます。
対象期間が終了時、利子補給金額と実際の利子支払額に差が生じている場合精算の手続きが必要となります。
2.特別利子補給制度に係る利子補給金の収益計上時期
上記(2)bで述べたように利子補給金は対象期間分一括で振り込まれるため収益計上時期に注意が必要です。
(1)原則
法人税法22条にて、収入の収益計上時期については、原則として「その収入すべき権利が確定した日の属する年分」と定められています。
国や地方公共団体により助成金等についても、支給が決定された日の属する年分の収入金額として計上する必要があります。
しかし、特別利子補給制度は先述の通り、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものであり、対象期間経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。
したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
つまり、特別利子補給制度は事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じて、その発生する利子相当額の収益が確定し、無利子化される流れとなります。
(2) 利子補給金の計上時期及び具体例
上記の原則に基づくと、利子補給金は、その事業年度に発生した支払利息と同額を収益として計上する必要があります。
具体的な仕訳例は下記の通りになります。
【前提】
4月決算法人
2021年2月1日借入
2月より毎月末日返済
(仕訳をわかりやすくするため、毎月の利息返済を1万円とする)
2021年4月30日付にて利子補給金36万円(36か月分)入金
【2021年4月期】
4/30入金時
預金 360,000円/雑収入 30,000円 ※
前受金 330,000円
※2021年4月期に発生する支払利息は30,000円(2-4月分の3ヵ月分×10,000円)
]
(1)原則に基づき、補填される費用と補給金等の収入を対応させる必要があるため、2021年4月期に計上する収益としては発生した支払利息と同額となり、残額は前受金として処理する必要があります。
【2022年4月期】
2022年4月期発生支払利息 120,000円
前受金 120,000円/雑収入 120,000円
※利子補給金対象期間が終了するまで、その事業年度ごとに前受金の取り崩しが必要となります。
3.最後に
利子補給制度を活用している事業所様につきましては、この機会に返済計画表と利子補給金入金額を照合の上、収益計上時期を確認してみてはいかがでしょうか。
なお、特別利子補給制度につきましては、まだ募集を受け付けておりますので、ご検討されている事業所様は特別利子補給事業HP()をご確認頂き、ぜひチェスナットにご相談ください。
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