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第135回:フレックスタイム制度について

2021年5月21日

皆さま、こんにちは!

気温が上がり過ごしやすい時期になってまいりました。コロナ禍で緊急事態宣言の最中ではありますが、人混みを避けて、外の空気を吸いに適宜出かけてみてはいかがでしょうか。皆さまもお体には気を付けて、手洗い、うがい、マスク着用を意識していきましょう。

 

今回の労務トピックは、在宅勤務関連でお問い合わせが多い、フレックスタイム制度について説明します。

 

■フレックスタイム制度

 

フレックスタイム制は、3ケ月以内の一定期間(以下、清算期間)内で決められた総労働時間の配分(始業、終業時刻)を労働者の決定に委ねる労働時間制度です。

時間外労働となるか否かの判定は、清算期間内の実労働時間を平均して、1週当たりの法定労働時間を結果として超えているかどうかで判定されます。このため、特定の1週や1日の実労働時間が法定労働時間(40時間/週、8時間/日)を超えていても直ちに時間外労働とは評価されず、割増賃金の支給対象とはならないです。

使用者は、実労働時間を管理、把握したうえで法定労働時間を超えているか判断する必要があります。

 

労働時間の把握は、使用者の現認による確認・記録、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的記録を基礎として把握することを原則として実労働時間を確認、記録する必要がありますが、あくまでも出社退社時刻の決定を労働者に委ねる制度であることを踏まえると、使用者や現場管理職による現認ができない場合には、適宜、自己申告も組み合わせて実施することになると解されます。

(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)

 

■フレックスタイム制度の導入要件

 

1.就業規則に始業終業時刻のいずれも、その決定を労働者に委ねる旨を定める。

(労働基準法32条の3第1項)

 

2.労働者の過半数を代表する者との間で、労使協定を書面で締結する。

(労働基準法32条の3)

協定すべき所定事項は以下のとおり。

(1)対象者の範囲

(2)清算期間

(3)清算期間における総労働時間

(4)標準となる1日の労働時間

(5)コアタイム(任意)

(6)フレキシブルタイム(任意)

(7)有効期間(清算期間が1ヵ月超の場合のみ)

 

3.清算期間が1か月超の場合に限り、労働基準監督署に届け出る。

(労働基準法32条の3第4項)

 

■清算期間における労働時間の法定の上限とは

 

労使協定にて、清算期間における労働者が労働義務を負う総労働時間を定めるが、清算期間を平均して1週当たりの労働時間が、週の法定労働時間を超えない範囲で設定する必要があります。

清算期間における法定労働時間の総枠=法定労働時間(40時間/週)×暦日/7

 

但し、完全週休2日制を採用している場合は、曜日のめぐりにおいて上述の総枠を超えてしまう事態が生じるため、「清算期間内の所定労働日数×8時間」と定めることが可能とされています。

 

■コアタイムでの遅刻・早退、欠勤の取り扱い、休日勤務、年次有給休暇

 

コアタイムを設定した場合、その時間に遅れて出勤すれば遅刻であり、その終了前に退勤した場合、早退となります。コアタイムは必ず労働すべき時間ではありますが、清算期間の総労働時間をもって労働時間の過不足を清算するフレックスタイム制では賃金控除の対象とすることはできないとなります。一方、遅刻・早退、欠勤があった場合で、実労働時間数が清算期間の総労働時間に満たないときは、その不足分を賃金控除することは可能となります。

 

休日については、フレックスタイム制で委ねられているのは、所定労働日における始業終業時刻の決定であり、休日につき取得することの決定は委ねられていません。1週1日の法定休日に振替を行わずに労働をさせた場合、当該休日労働の時間は清算期間における総労働時間とは別個のものとして取り扱われ、3割5分以上の割増賃金を支払う必要があります。また逆に所定労働日に一切勤務しないことは欠勤とされます。

 

年次有給休暇については、労使協定で定めた、標準となる1日の労働時間労働したものと取り扱われるとされています。また半日単位の年休ならば、「半日年休取得日数×標準労働時間数×0.5」を実労働時間に加算して計算します。

 

■まとめ

 

労働者の働き方に多様性を認め、プライベートと仕事のバランスのとり充実感をもって働けるようにすることを目的として生まれたフレックスタイム制。始業終業時刻の決定を労働者に委ねる制度であるために、一般的には、在宅勤務や、業務の割り振りが明確で労働者個々人で完結しやすい業務や、労働者個々人に労働時間配分の裁量を持たせたほうが効率的な職種になじみやすい、逆に営業のように取引先の時間等の都合に合わせた勤務が必要な職種や、社内での連携先が多い業務にはなじみにくいと言われています。

働き方の新たな制度として検討してみてはいかがでしょうか。ご質問・ご不明はチェスナットへご連絡下さい。

 

 

 

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