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第130回:法人税・消費税等の申告期限の延長の特例

2021年3月19日

皆さま、こんにちは。

日ごとに暖かくなり、すっかり春めいてまいりました。春と言えば出会いと別れの季節です。特に来月4月は、入社式、部署異動など変化の多い時期ですね。そして税務においても、この時期から税制改正があります。今回の税務トピックはその中の1つ、「申告期限の延長の特例」についてお伝えします。

 

「申告期限の延長の特例」は、法人が申告する法人税は今までも手続きを行うことができましたが、消費税は手続きを行うことができませんでした。しかしながら、令和2年の改正により、令和3年3月31日以後に終了する事業年度末の属する課税期間から消費税の申告期限についても1ヶ月延長できるようになりました。それでは、その内容についてみていきましょう。

 

<申告期限の延長の特例とは>

皆さまご存じのとおり、基本的に法人税や消費税は決算日の翌日から2ヶ月以内に申告及び納付をする必要があります。「申告期限の延長の特例」は、定款の定めや特別な事情により、期限までに申告することができない場合に、申告期限を延長するための手続きです。

 

<申告期限の延長に関する注意点>

注意しなければならないのは、『申告』期限の延長であるので、『納付』期限は延長されていないという点です。申告期限の延長に合わせて納付も遅れた場合は、延長した期間分の利子税が加算されます。利子税は、損金に算入できるという点で、延滞税や無申告加算税などとは違います。

いずれにしましても、納付期限までに納付しなければ出費が多くなってしまうことに変わりはありません。そのため、利子税を回避するため、納付期限までに見込納付をしておくことをお勧めします。

 

<申告期限の延長の特例のメリット>

申告期限の延長のメリットは2つあります。

1つ目は、上述していますが、利子税は損金に算入できるという点です。延長の特例を提出していない場合、延滞税や無申告加算税がかかることがありますが、これらは損金に算入できません。

2つ目は、「何かの事情により、会計が締められない」といった場合に有効であるという点です。申告期限を延長していれば、時間的にも、精神的にも少しだけ余裕を持つことができます。

 

<申告期限の延長の手続き>

申告期限の延長の手続きは、法人税と消費税のそれぞれで行う必要があります。消費税の申告期限の延長の手続きは、法人税の手続きの適用を受けている法人であれば、届出を提出するだけです。そして、法人税の申告期限の延長の手続きは、下記「手続要件」5つのうち、いずれかに該当した場合に行うことができます。

 

<手続きの詳細>

以下に、それぞれの手続きの詳細を記載致します。

【法人税の申告期限の延長の特例】

1.手続要件

次の(1)から(5)までのいずれかに該当する場合に手続きを行うことができます。

(1) 定款等又は特別の事情があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から2月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあるため、申告書の提出期限を1月間(連結事業年度にあっては2月間)延長しようとする場合。

(2) 会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から3月以内(連結事業年度にあっては4月以内)にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあるため、4月を超えない範囲内で申告期限の延長月数の指定を受けようとする場合。

(3) 特別の事情があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から3月以内(連結事業年度にあっては4月以内)にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあること、その他やむを得ない事情があるため、申告期限の延長月数の指定を受けようとする場合。

(4) 連結子法人が多数に上ること、その他これに類する理由により連結所得の金額又は連結欠損金額及び法人税の額の計算を了することができないことにより、今後、各連結事業年度終了の日の翌日から2月以内に法人税の連結確定申告書を提出できない常況にあるため、申告書の提出期限を2月間延長しようとする場合。

(5) 特別の事情があることにより、今後、各連結事業年度終了の日の翌日から4月以内に連結所得の金額又は連結欠損金額及び法人税の額の計算を了することができない常況にあること、その他やむを得ない事情があるため、申告期限の延長月数の指定を受けようとする場合。

 

2.申請書類

申告期限延長の特例の申請書

 

3.添付資料

定款、寄附行為(財団法人の定款に相当するもの)、規則又は規約の写し

 

4.提出時期

最初に適用を受けようとする事業年度終了の日まで又は連結事業年度終了の日の翌日から45日以内

 

【消費税の申告期限延長の特例】

1.手続要件

消費税の確定申告書を提出すべき法人(上記の法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人に限る)が、消費税の確定申告の期限を1月延長しようとする場合。

 

2.申請書類

消費税申告期限延長届出書

 

3.添付資料

なし

 

4.提出期限

最初に適用を受けようとする事業年度終了の日まで又は連結事業年度終了の日の翌日から45日以内

 

<最後に>

この手続きをしたからといって、必ずしも本来の申告期限を過ぎてから申告をしなければならない訳ではなく、通常の申告納付期限である決算日の翌日から2か月以内に提出していただいても、もちろん大丈夫です。申告期限の延長の特例を提出していないという方は、これを機にご検討をしてみてはいかがでしょうか。もし、申告期限の延長をしたい・延長ができるか知りたいという方は、是非チェスナットへご連絡ください。

 

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参考URL
国税庁[手続名]申告期限の延長の特例の申請国税庁[手続名]消費税申告期限延長届出手続

国税庁No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期