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第114回:令和2年分年末調整の変更点

2020年10月22日

皆さま、こんにちは。

今年も残すところ3ヶ月となり、年末調整の時期が近づいてきました。

令和2年度の年末調整では改正点がいくつかあります。

そこで今回の税務トピックでは一足先に、令和2年分年末調整の変更点についてご案内いたします。

 

まず、「年末調整」を簡単に説明すると、

会社が1年間に源泉徴収した所得税と、1年間に納めるべき所得税を一致させる手続きのことを言います。

この調整の際に必要となる控除関係に改正が入りました。

 

それではここから令和2年分年末調整の改正点についてご説明いたします。

 

1. 給与所得控除に関する改正

給与所得控除とは、所得税や住民税を計算する際、給与所得者の収入から差し引かれる経費のようなものです。

今年は、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」が変更となりました。

変更後の表については、国税庁よりご確認ください。

収入金額に対応する控除額が10万円引き下げとなり、かつ上限が195万円まで引き下げられました。

 

2. 基礎控除及び所得金額調整控除に関する改正

(1)基礎控除額の改正

基礎控除は、令和元年度分までは誰もが一律に控除できたのですが、改正が入りました。

(改正前)は,一律38万円でしたが、

(改正後)は、所得金額2400万円以下 → 48万円

所得金額2400万円超、2450万円以下 → 38万円

所得金額2450万円超、2500万円超  → 16万円

所得金額2400万円以下の人は基礎控除が10万円引き上げとなりましたが、2400万円を超える方は前年より控除額が少なくなり、増税になります。

※この改正は、給与所得控除の10万円引き下げがあったことによる改正となります。

 

(2)子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の創設

給与等の収入金額が850万円を超える所得者の中で、

  1. 特別障害者に該当する人
  2. 23歳未満の扶養親族を有する人
  3. 特別障害者である同一生計配偶者を有する人
  4. 特別障害者である扶養親族を有する人

上記のいずれかに該当する場合には、給与の収入金額から850万円を控除した金額の10%を給与所得から控除できるようになりました。(収入金額の上限は1000万円)

 

(3)給与所得者の配偶者控除等申告書の様式変更

上記の改正に伴い、申告書の様式が新しくなりました。

新しい書類は「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」と3つの申告書を兼ねたものへと変更になります。

 

3. 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正

全ての合計所得金額の要件が10万円引き上げとなりました。

こちらも改正後の詳細については、国税庁よりご確認ください。

こちらも給与所得控除の10万円引き下げを受けての改正となります。

 

4. ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正

  • ひとり親控除

ひとり親控除が新設されました。控除額は35万円です。

婚姻歴の有無や性別にかかわらず生計を一にする子を有する以下の1~3の要件を満たす単身者がひとり親に該当します。

  1. 見積合計所得金額が、48万円以下の生計を一にする子を有する
  2. 合計所得金額が500万円以下である
  3. 事実上の婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと

 

  • 寡婦(寡夫)控除の見直し

ひとり親の改正に伴い、寡婦(寡夫)控除が「ひとり親に該当しない寡婦に係る寡婦控除」に改組されました。

 

改正後の寡婦の要件

(1).夫と離婚後、婚姻していない者のうち、次に掲げる要件を満たすもの

  • 扶養親族を有すること。
  • 合計所得金額が500万円以下であること
  • その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと

(2).夫と死別後、婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない一定の者のうち、次に掲げる要件を満たすもの

  • 合計所得金額が500万円以下であること
  • その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと。

 

改正後の寡夫、特別の寡婦

寡夫と特別の寡婦はひとり親控除に変更され、控除額が35万円となりました。

 

5. 年末調整の電子化

生命保険料や地震保険などの控除証明書をハガキ等の書面で会社へ提出していましたが、電子データで提出することができるようになりました。

会社が電子化を進める場合は、税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」の提出が必須となります。

国税庁より「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」が令和2年10月より無償で提供される予定です。

いかがでしょうか。

今年は改正点が多く、電子化といった新しい動きもあります。

不明点等ございましたら、ぜひチェスナットへご相談ください。

またYoutubeでも詳しい内容をご説明しておりますのでご覧ください。
youtube「何が変わるの? 令和2年 年末調整改正点」

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