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第96回:医療費控除について

2020年2月21日

今回の税務トピックでは、来月に申告期限が迫った確定申告に向け、間違いやすいポイントを踏まえながら医療費控除についてご紹介させて頂きます。

なお、セルフメディケーション税制による医療費控除制度もありますが、今回はそちらについては省略します。

 

医療費控除とは、本人が、本人又は本人と生計を一にする配偶者やその他の親族に係る医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定の金額を超える時、所得控除されるものです。

(1)控除額

その年中に支払った金額―保険金等で補填される金額―10万円or総所得金額の5%とのいずれか少ない方の金額=医療費控除額

では、以下の例で計算してみましょう。

・会社員・・・給与所得400万円、不動産所得100万円 総所得金額500万円

・その年に支払った医療費・・・100万円(入院代あり)

・保険金等で補填される金額 生命保険での入院一時金50万円

「100万円―50万円―(10万円<500万円×5%=25万円 ∴10万円)=40万円 」

よって、40万円が医療費控除額となります。

 

(2)医療費控除の対象となる親族の範囲

医療費を支払った時においてその支払った者と生計を一にする配偶者その他の親族を言います。

つまり、奥様もしくは旦那様はもちろんのこと、お子様の医療費も含めることができます。

ここでポイントとなるのが「生計を一にする」という部分ですが、文字面だけを見ると「同居している」という意味のように思えます。

ところが実際は必ずしも同居を要件としているわけではありません。

国税庁質疑応答集の「同居していない母親の医療費を子供が負担した場合」では、こう書かれています。

 

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「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうのでなく、次のような場合には、それぞれ次によることとされています。

勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。

  • イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を 共にすることを常例としている場合
  • ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

 

(引用)国税庁HP内/所得税

 

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この質疑応答集とは親と子が逆のケースになりますが、例えば大学進学のため実家を離れて一人暮らしをしているお子様が上記に該当するのであれば、そのお子様に係った医療費も医療費控除に含めることが可能です。

ですので、そういった場合には医療費の領収書はとっておいてもらい、帰省する時にでもお子様に持ってきてもらうようにしましょう。

(3)医療費の範囲

代表的なものは病院での治療代ですが、その他に意外と知られていないのが薬局で購入した風邪薬等の一般医薬品です。

治療目的で購入したものであれば控除対象となり、医師の処方箋は必要ありません。

領収書はすぐに捨ててしまいがちですが、しっかり保管しておきましょう。

反対に、健康維持が目的であるビタミン剤やサプリメント等は対象にはなりませんのでご注意ください。

 

また、マッサージ代等も治療目的であれば医療費控除の対象になります。

代表的なものとして、あん摩マッサージ指圧師、はり師、灸師、柔道整復師の国家資格を持つ方が行う診療行為です。

施術を行っている方が上記の資格を持っているのかを確認しておきましょう。

ただし、ここでも健康維持や疲れを癒す等の目的である場合には認められませんので、ご注意下さい。

 

医療費控除対象の判別は多岐に渡るため難しく、それだけで分厚い本が売られているぐらいです。

まだまだ紹介しきれていない事例が沢山ありますが、医療費控除をより理解し、正しい申告、正しい節税をしていきましょう。

もし判断に困るようなことがありましたら、お気軽にチェスナットまでお問い合わせ下さい!