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第93回:年末調整

2019年11月20日

今回の税務トピックは、年末調整の復習と、先のお話ですが、2020年の年末調整の変更点をお話しさせていただきます。

 

日を追うごとに寒さが増し、年末が近づいてきて忙しくなってきたなと感じる方も多いのではないでしょうか。

そして毎年やってくる、今年も年末調整を行う時期になりました!

元号改正や増税など様々な変化があった2019年ですが、2019年の年末調整はこれまでと大きな変更はありません!これに対し2020年の年末調整では大きな変更点がいくつかあります。

 

そもそも年末調整とは、給与等の支払者が、給与等の支払いを受ける人(給与所得者)の一人ひとりについて、その年中に支払いが確定した給与等の総額に対して納めなければならない税額(年税額)を算出し、その年税額と既に毎月(毎日)の給料や賞与などから源泉徴収してきた税額とを比べて過不足額を清算する手続きのことを言います。

大部分の給与所得者は年末調整によってその年の所得税及び復興特別所得税の納税が完了することとなり確定申告をする必要がなくなるわけですので、年末調整は正確に行う事が要求されます。

 

まずは復習から、

Q:年末調整の対象となる人や対象とならない人は、どのような人?

A:年末調整は、原則として給与等の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人の全員について行いますが、例外的に年末調整の対象とならない人もいます。

年末調整の対象とならない人は以下の通りです。

  1. 年末調整を行う時までに扶養控除等申告書を提出していない人
  2. その年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超えている人
  3. 国内に、住所も1年以上の居所も有していない人(非居住者)
  4. 年の途中で退職(死亡退職などを除きます)した人
  5. 「災害被害者に対する租税の減免、微収猶予等に関する法律」の規定により、その年中の給与等に対する源泉所得税及び復興特別所得税について微収猶予や還付を受けた人

 

次に、いまだ馴染みのない配偶者特別控除について再度確認していきましょう。

平成29年度税制改定により、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われました。(平成30年分以後の所得税から適用)

 

Q:そもそも配偶者特別控除とは?

A:配偶者に38万円(令和2年分以降は48万円)を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。

なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。

 

Q:配偶者特別控除を受けるための要件とは?

A:

  1. 控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が、1,000万円以下であること。
  2. 配偶者が、次の要件全てに当てはまること
  3. 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと

【2の要件】

  • イ 民法の規定による配偶者である事(内縁関係の人は該当しません)
  • ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること
  • ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
  • ニ 年間の合計所得金額が38万円超123万円以下(令和2年分以降は48万円を超え133万円以下)であること

 

配偶者特別控除の控除額は控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額及び配偶者の合計所得金額に応じて変わってきます。

詳しくは国税庁のHPをご参照ください。

 

配偶者特別控除を受けるための手続きは、年末調整の際に「給与所得者の配偶者控除等申告素」に記載していただき勤務先に提出すれば控除が受けられます。

 

次に、2020年の年末調整での変更点について軽く触れてみましょう。

 

  1. 2020年1月から所得税法が改正になり、基礎控除額が38万円から48万円へと引き上げられます。またその一方で、給与所得控除は65万円から55万円に縮小されます。
  2. 単身児童扶養者の欄が追加

2020年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には2019年の申告書に存在しなかった「単身児童扶養者」の欄が設けられます。

こちらも2020年1月から施行される地方税法の改正により新たに誕生した概念で以下の条件を満たす者とされています

  • イ 児童扶養手当の支給を受けている児童の父または母であること
  • ロ 現に婚姻をしていないが、配偶者の生死が明らかでないこと
  • ハ 児童扶養手当の対象児童の総所得金額との合計額が48万円以下であること

「単身児童扶養者」のうち、前年の総所得金額が135万円以下である場合、その年の住民税の非課税措置を受けることができることとなるそうです。

 

その他にも変更点はございますが、今回は軽く触れておく程度にさせて頂き、来年改めてお話しさせていただきます!

 

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