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第85回:「附帯税」について

2019年3月20日

先週で確定申告が終わりましたが、みなさんは期限内に申告・納付は済みましたでしょうか。

期限後に申告・納付を行ってしまうと、延滞税などの「附帯税」がかかってしまいます。

今回は、その「附帯税」についてお話をしたいと思います。

 

附帯税とは

本税以外の無申告加算税、過少申告加算税、不納付加算税、重加算税、延滞税、利子税の総称です。

税種によって算出方法は変わるため、「加算税」、「延滞税」、「利子税」の3つに分けてご説明します。

 

『加算税』

加算税は申告が適正にされなかった場合や源泉徴収義務を怠った場合に課せられます。

罰金の要素が強く、一律に課税割合が決まっているものです。

 

【無申告加算税】

申告書を申告期限までに提出せず、かつ、納付すべき税額があった場合に課税されます。

納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。

ただし税務署から指摘される前に、自主的に納付した場合は5%に軽減されます。

なお、上記で計算した金額が5千円未満の場合は免税となりますので、必ず自主的に納付しましょう。

その他にも下記の全てを満たす場合も免税となります。

・申告期限から1ヵ月以内に自主的に申告していること

・納めるべき税額の全てが法定納期限までに完納していること

・その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

 

【過少申告加算税】

申告期限内に提出された申告書に記載された納税額が過少であった場合に課される税金です。

追加本税の10%が課税されますが、この金額が当初の申告納税額と50万円とのどちらか多い方の金額を超える部分については、15%になります。

なお、税務調査に基づかない自主的な修正申告であれば、過少申告加算税はかかりません。

 

【不納付加算税】

源泉徴収した所得税を納付期限内に支払われなかった場合に課税されます。

納付すべき税額に対して10%の割合を乗じて計算した金額となりますが、税務署から指摘される前に自主的に納付した場合には5%に軽減されます。

 

【重加算税】

上記の各加算税が課税される場合で、事実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合、又は仮装に基づいて過少申告を行った場合に課される税金です。

・無申告加算税の代わりに納付すべき税金の40%が課税

・過少申告税の代わりに追加本税の35%が課税

・不納付加算税の代わりに納付すべき税金の35%が課税

これは、税務調査で仮想隠蔽をしたと判断された場合に適用されます。

税率もこれまでの加算税とは比べ物にならないほど高く、税務署にも目を付けられてしまうなど、非常に重いペナルティとなります。

 

『延滞税』

延滞税は、各種税金が期限までに納付されない場合に、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される追加課税で、いわゆる利息に相当する税金と言えます。

また、期限後に修正、更正または決定の処分を受けた際、納めるべき税額が不足していた場合にも延滞税が発生します。

 

【延滞税の計算について】

1.法定納期限の翌日から2月を経過する日まで

現行は年「7.3%」と「特定基準割合(注)+1%」のいずれか低い割合。

平成31年1月1日から平成31年12月31日までの期間は、年2.6%となっております。

(注)特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。

 

2.納期限の翌日から2月を経過した日以後

年「14.6%」と「特定基準割合(注)+7.3%」のいずれか低い割合。

平成31年1月1日から平成31年12月31日までの期間は、年8.9%となっております。

 

なお、延滞税が免除されるケースとしては、延滞税が千円未満の場合、延滞税を計算する基になった本税の額が1万円未満の場合が挙げられます。

なぜ本税1万円未満が免除になるのかというと、延滞税の計算は1万円未満の端数切捨てとなっているため、1万円未満であれば0円となるためです。

 

『利子税』

利子税は、所得税や法人税、相続税などの国税について、延納または納税申告書の提出期限の延長が認められた場合に、その期間に応じて課される附帯税のことをいいます。

上記の加算税・延滞税は法人所得の計算の際には損金算入が認められていませんが、利子税は約定利息としての性格を有するものであるため、損金算入が認められています。

 

 

附帯税といっても様々なものがありますが、どれも共通して言えるのは、税率が高く、会社によってはかなり高額な支払となるケースもあります。

申告・納付期限はしっかりと守り、正しい申告・納付を行いましょう。