2018年11月22日
今回の労務トピックは、2019年4月1日より順次施行される働き方改革関連法案のうちの一つ、「有給休暇取得の義務化」についてです。
年次有給休暇の時季指定取得義務
労働基準法では、雇い入れ日より起算して6ヶ月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に年10日の有給休暇を付与する旨定められています。
年次有給休暇は原則として労働者が請求する時季に付与することとなっていますが、取得状況は低調な状況にあり、年次有給休暇の取得促進は課題となっています。
厚生労働省の就労条件総合調査によると、平成28年の1年間に企業が付与した有給休暇日数は労働者1人平均18.2日、そのうち労働者が実際に取得した有給休暇日数は9.0日であり、取得率は49.4%にとどまります。
今般の労働基準法の改正では2019年4月より、すべての企業において年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年次有給休暇の日数のうち5日については使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました。
たとえ労働者が有給休暇の取得の請求をしない場合でも、使用者からの時季指定取得により、年に5日は有給休暇を必ず取得することになり、というのが労働法改正のポイントです。
対象者
企業:全ての企業(大企業、中小企業の別、業種を問わず、全ての企業が対象)
労働者:年次有給休暇が10日以上付与される労働者(管理監督者、パート労働者等を含む)
雇い入れ後6か月を経過した日から
時季指定取得の運用とは
有給休暇の取得について、これまで通り「〇月△日に取得します」という労働者からの申し出が原則となり、有給休暇を5日取得済みの労働者については使用者による時季指定は不要です。あわせて、有給休暇未取得の労働者に対し、取得時季の意見を聴取し、労働者の意見を尊重したうえで「〇月△日に取得してください」という時季指定をし、5日の有給休暇を取得させることになります。
※有給休暇取得0日の労働者は時季指定により5日取得、有給休暇取得1日の労働者は時季指定により4日取得・・・といった運用になります。
運用のポイント
有給休暇取得の義務化に伴い、使用者は労働者毎に年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保管しなければならなくなります。年次有給休暇の付与の基準日、付与日数を管理するほか、各労働者が「いつ」「何日」有給休暇を取得したかをこれまで以上に厳格に管理する必要があります。
万一、有給取得日数の管理に漏れがあり、年間5日の取得ができない労働者がいる場合には、労働基準法違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるため、2019年4月の法施行までに、社内の運用方法を固めておく必要があります。
これからの有給管理は、もはやアナログ的な管理では難しく、勤怠管理システム等による年休管理を行わないと、時季指定取得義務を遵守し続けることが難しいと思われます。
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