2018年10月19日
今回の経理トピックでは、資産の計上方法と資産計上時の税込経理・税抜経理の違いについてご紹介します。
10万円以上の物品等を購入した場合、費用ではなく資産として計上し法定耐用年数に応じて減価償却が必要ですが、取得価額に応じて異なる計上方法を選択することが可能です。
①10万円未満のもの…資産ではなく費用として全額計上が可能。
②10万円以上20万円未満のもの…一括償却資産として計上し、その資産の耐用年数を問わず3年で均等償却が可能。
③10万円以上30万円未満のもの…10万円未満のものと同様に全額をその期の費用として一括計上が可能。(ただし青色申告をしている中小企業―資本金が1億円以下、従業員数が1,000人以下―に限る。※一定の法人は除く。詳細は右記のURLをご参照下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
④30万円以上のもの…資産計上し、法定耐用年数で減価償却が必要(30万円未満でも任意でこの方法を選択可能)
資産計上して減価償却するということはその期に計上できる費用が少なくなりますので(費用の繰り延べ)、利益を圧縮して節税したい場合や、逆に借り入れなどに備えて利益を多く出したい場合は、金額に応じて資産の計上方法を使い分けることになります。
このように資産の計上方法について判断する際、10万円、20万円、30万円という金額が判定ラインになってきますが、その際、消費税の扱いに注意する必要があります。
例えば税抜価格95,000円、税込価格102,600円(8%)のパソコンを購入した場合、このパソコンは資産計上が必要でしょうか。
これはその企業の経理方式が、税込経理か税抜経理かによって異なります。税込経理と税抜経理の違いは下記の通りです。
- 税込経理…消費税を含めて経理処理を行う。
- 税抜経理…消費税を含めず、本体価格と仮払消費税等を別立てにして経理処理を行う。
税込経理では消費税を含んだ金額が取得価額となりますので、102,600円のパソコンを買ったと考え、資産計上することになります。
一方、税抜経理では95,000円のパソコンを購入したと考え、10万円未満のため資産ではなく消耗品費95,000円で計上、消費税7,600円は仮払消費税等とします。結果として選択している経理方式によって資産や費用の額が異なることになります。
これは資産計上の際の20万円、30万円の判定についても同様ですし、また少額交際費の飲食代の5,000円判定の際も同様に、税込経理と税抜経理では判定結果が異なってきます。
自社の会計が税込経理か税抜経理かを把握した上で、正確な金額で勘定科目を振り分けることが必要になりますのでご注意下さい。
資産の計上方法は法律の改正により変更される可能性があります。
ご不明な点等あればチェスナットへお問い合わせ下さい!