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第60回:「無期転換ルール」について

2018年3月21日

今回の労務トピックは、平成30年4月1日以降、本格化する「無期転換ルール」について、再度、ご紹介いたします。

無期転換ルールとは、同一の使用者との間で締結された有期労働契約が繰り返し更新された期間が通算5年を超える場合、労働者が使用者に対して、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、無期労働契約の締結の申し込みをしたときは、使用者が当該申し込みを承諾したとみなされ、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日の翌日から無期労働契約が成立するものです。(労働契約法18条1項、以下、労契法)

この5年カウントですが、無期転換ルールを定めた労契法18条の施行日である平成25年4月1日以降に、有期雇用契約を締結したときから起算されますので、平成30年4月1日で5年が経過します。

そのため、この4月1日以降、本格的な無期転換の発生が見込まれ、事業主や人事労務担当者においては円滑な導入に向けた早急な対応が必要となります。

導入のポイントとしては、

  • 社内における有期労働者の就労実態把握
    (有期労働者の人数、更新回数、担当業務等)、
  • 無期転換ルールへの対応の方向性
    (任せる仕事、正社員との差は何か等)、
  • 無期転換後の労働条件を定めた就業規則の整備、導入へ向けた労使のコミュニケーション等

が挙げられます。

注意点としては、転換後の労働条件は、別段の定めがない限り従前と同一とされますので、無期転換者に適用される労働条件を同一に整備したい場合には、無期転換者用の就業規則を整備する必要があります。

その他、個別合意により、新しい労働条件を設定することもできますので、事前の検討が必要になります。

無期転換ル-ルの本格化により、「キャリアアップ助成金」についても、平成30年4月以降に制度の拡充や支給要件の追加が予定されています。

人材活用戦略を検討するとともに、改正情報にも注意しながら助成金を活用し、無期転換の本格化への準備を進めていただければと思います。