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第44回:「社員旅行の税務上の取扱い」について

2017年8月21日

今回の税務トピックは、社員旅行の税務上の取扱いについてご紹介いたします。

8月のお盆が終わりまだまだ残暑が厳しいですが、これから秋に社員旅行をする予定の会社様もいらっしゃると思います。
そこで今回は、税務的な観点から社員旅行についてご紹介していきます。

社員旅行とは、

「従業員レクリエーション旅行」や「慰安旅行」等とも言い、会社負担分については費用計上できるものです。
ただし、社員旅行にかかる経費を福利厚生費として計上するには、一定の条件を満たす必要がありますので、もし社員旅行を行う予定がある場合は、次の条件を満たしているかどうかを改めて確認することが大切です。

(1)旅行の期間

国内旅行は「4泊5日以内」、海外旅行の場合には「現地での滞在日数が4泊5日以内」で、機中泊はカウントしません。

(2)参加人数

旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること。
工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加することが必要です。
つまり、特定の人達だけで行くようなものは認められず、最低でも半数以上の参加が条件になります。
万が一、参加者が病気や用事等で欠席になっても半数を超えられるように、ギリギリの参加人数での決行は避けたいところです。

(3)旅費の会社負担額

具体的な金額は明示されていませんが、目安として一人10万円までと言われています。
この金額を超えてしまうと、一般的な社員旅行に対し、豪華なものとしてみなされ、費用には認められず、給与課税されてしまう可能性があります。

国税庁のタックスアンサーにも、いくつか事例が紹介されていましたので、載せておきます。

[事例1]

  1. 旅行期間3泊4日
  2. 費用及び負担状況 旅行費用15万円(内使用者負担7万円)
  3. 参加割合100%
    ・・・旅行期間・参加割合の要件及び少額不追及の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として非課税

[事例2]

  1. 旅行期間4泊5日
  2. 費用及び負担状況 旅行費用25万円(内使用者負担10万円)
  3. 参加割合100%
    ・・・旅行期間・参加割合の要件及び少額不追及の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として非課税

[事例3]

  1. 旅行期間5泊6日
  2. 費用及び負担状況 旅行費用30万円(内使用者負担15万円)
  3. 参加割合50%
    ・・・旅行期間が5泊6日以上のものについては、その旅行は、社会通念上一般に行われている旅行とは認められないことから給与課税

ちなみに、過去の裁決例では現地2泊3日でほぼ全員が参加していた社員旅行であっても、会社負担額が一人241,000円だったことで一般的ではないと判断され、給与課税されたものがあります。
やはり3つの条件を全て満たしておくべきです。

その他の注意点

【参加しなかった人に現金を支給する】

現金支給は給与とみなされ、給与課税されてしまいます。
それだけでなく、旅行に参加した人全員にも現金による支給があったものとみなされ給与課税されてしまうので、参加しない人に現金支給をするのはくれぐれもやめましょう。

【役員のみで行う旅行】

従業員レクリエーション旅行には該当せず、かかった旅費は役員給与とされ、さらに定期同額給与ではないため法人税計算上経費とすることができず、給与課税と法人税課税のダブルパンチとなりますので、計上しないよう注意が必要です。

【実質的に私的旅行と認められる旅行】

例えば家族役員と家族従業員のみの会社で社員旅行をした場合、それは家族旅行(私的旅行)と何ら変わらないと税務調査で指摘され、「役員のみで行う旅行」と同様に、給与課税・法人課税のダブルパンチを受けるリスクがあります。

その様なケースでは「研修旅行」にするのも一つの手です。
しかし、それには研修が行われたことの証拠が必要で、工場見学のパンフレット、セミナーの写真や工程表等を保存しておく必要があります。

以上のことを踏まえ、税務的にも安心安全な社員旅行を楽しんでくださいね。
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