第30回:「株主リスト」を登記の添付書面とする商業登記規則等の改正について
2016年9月29日
今月は、「株主リスト」を登記の添付書面とする商業登記規則等の改正についてご紹介いたします。
商業登記規則の改正により平成28年10月1日以降、株主総会の決議等が必要な登記の際に株主リストの添付が義務付けられます。
◆なぜ株主リストの添付が必要?
これまで、株主総会議事録を偽造して役員に成りすまし変更登記を行い、会社の財産を処分するなど、登記を悪用した犯罪や違法行為が行われるケースがありました。
このため、消費者保護や犯罪抑止のための登記の真実性の担保強化、法人の所有者情報を把握することでの透明性の確保や悪用防止の国際的な要請などを背景に、当該改正が行われました。
◆株主リストの対象者と記載事項
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株主全員の同意が必要な登記の場合
記載対象者:株主全員記載内容:(1)株主の氏名又は名称
(2)住所
(3)株式数
(4)議決権数 - 株主総会の決議が必要な登記の場合
記載対象者:次の(1)と(2)いずれか少ない方の株主
(1)議決権数の上位10の株主
(2)議決権割合が2/3に達するまでの株主記載内容:(1)株主の氏名又は名称
(2)住所
(3)株式数
(4)議決権数
(5)議決権数割合
◆株主リストは法人税申告書別表2を利用できる場合もあります
法人税を申告する際に提出する別表2(同族会社の判定に関する明細書)には株主・ 保有株式数等の明細を記載する欄が設けられており、株主リストと同等の記載項目もあることから、企業の事務負担に配慮し、株主リストに別表2を添付することで、上記記載内容の(2)及び(3)を省略することが可能とされています。
しかし全てのケースにおいて別表2が株主リストの記載内容を満たしているとは限らないため、利用できるか否かを判定するフローチャートが法務省で用意されています。
株主リストの書式例や記載例も掲載されていますので、登記申請の際にご確認ください!
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