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第29回:消費税に関する「インボイス方式」について

2016年8月31日

今月の税務・労務トピックは、消費税に関する最近の動向の一つである「インボイス方式」についてご紹介いたします。

こちらのインボイス方式は、平成33年から導入予定で、
消費税が複数税率となることを前提に、「インボイス」という適用税率や税額などが記載された「書類」を用いて消費税額を計算・納付する方法です。

納品書や請求書、領収書などとは異なる「インボイス」という書類があると考えてください。
制度の内容を簡単に言いますと、消費税課税事業者が発行するインボイスに記載された税額のみ、仕入税額控除ができるという制度であり、免税事業者からの仕入については、仕入税額控除ができないというものです。

したがって、次のような業種の場合、今後の消費税の納税額に大きな影響を及ぼすことが想定されます。

1.一人親方を外注先として利用している建設業等

建設業等においては、下請け先として、いわゆる「一人親方」と呼ばれるような事業者に仕事を依頼しているケースがあります。

これらの取引は、外注費として仕入税額控除の対象としているケースが多いと思いますが、インボイス方式導入後は、免税事業者である外注先への支払いは、仕入税額控除ができませんので、元受先の消費税の負担は増大するものと思われます。

また、建設業以外の業種であっても、営業担当の社員に対して、基本給以外のインセンティブ部分を、成果報酬として仕入税額控除の対象としているケースや雇用契約に近い者を、形式上、業務委託契約として課税仕入の適用を受けている場合も同様の事態が生じます。

2.中古品の買取・販売業者

「免税事業者からの仕入が仕入税額控除できない」という点からすると、最も影響を受ける業種は、古本、古着、雑貨、家具、電化製品等を安く買い取り、販売するリサイクルショップではないでしょうか。

これらの業種は、仕入先の大部分が学生や主婦、サラリーマン等の最終消費者(免税事業者)と想定されますので、改正後の納税額は相当増加するものと思われます。

3.不動産販売業者

不動産販売業の場合、事業を行っていない個人から不動産(建物)を買い取るケースも多いと思いますが、インボイス方式導入後は、同様に仕入税額控除ができないことになります。

建物は一取引の金額も大きくなるため、税額計算に大きな影響を与えることになるでしょう。
したがって、上述した取引を行う業者は、今後仕入等を行う際に、仕入税額控除ができなくなるという点を念頭に置いて、取引先との仕入価格を交渉しないと、その後の会社のキャッシュフロ-に大きな影響を及ぼすことになります。

以上が概要となりますが、その他にも、疑問・質問があるかと思います。

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