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第26回:生産性向上設備投資促進税制 ~29年3月末までがチャンス~

2016年5月31日

今月の税務・労務トピックは、【 生産性向上設備投資促進税制 ~29年3月末までがチャンス~ 】についてお届けいたします。

平成26年1月から開始された産業競争力強化法によって、国内投資を促進するために「生産性向上設備投資促進税制」が創設されました。

この税制は、最高で投資額を初年度に半額経費とする「特別償却」と、投資額の一部を税額から控除する「税額控除」の2通りから選択して適用することができます。

※中小企業者は、一定要件を満たした場合、投資額を初年度に全額経費とする「即時償却」が上乗せ措置により可能です。

≪やるなら今でしょ!!≫

この「生産性向上設備投資促進税制」の適用期限は、『平成29年3月31日』です。
そして、この適用期限の到来をもってこの税制が廃止されることが、平成28年度税制改正により決定しました。

≪適用対象資産≫

この制度は、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの期間内に、下記の資産の取得をして事業の用に供した場合に適用されます。

A.先端設備

…旧モデルと比べて年平均1%以上生産性を向上させる最新モデル

◆機械・装置(限定なし)
◆器具・備品(試験・測定機器、冷凍器付陳列ケース、サーバー(※)など)
◆建物関連(ボイラー、LED照明、断熱材・断熱窓など)
◆稼働状況等の情報を収集・分析・指示するソフトウエア(※)
◆工具(ロール)

※サーバーとソフトウエアは中小企業のみ

B.生産ラインやオペレーションの刷新・改善

事業者が通常作成する設備投資計画上の投資収益率が15%以上(中小企業は5%以上)

◆機械・装置、工具、器具備品、ソフトウエア、建物、建物附属設備及び構築物

≪特別償却と税額控除≫

平成28年度の改正により、償却割合と控除割合が下記のように変更されました。

◆改正前(28年3月31日以前)
機械装置など:即時償却(全額経費) or 5%税額控除
(上記のうち建物、構築物:即時償却(全額経費) or 3%税額控除)

◆改正後(28年4月1日から29年3月31日)
機械装置など:50%償却 or 4%税額控除
(上記のうち建物、構築物:25%償却 or 2%税額控除)

※中小企業者の場合
中小企業者の上乗せ措置には変更はございません。
⇒即時償却が可能です。

≪まとめ≫

平成28年度の改正に伴い、税額控除・特別償却はともに割合が大幅に下がっていまいますが、この税制は資本金の多寡や業種を問わず、幅広い設備投資について節税効果が得られますので、積極的に活用したいものです

一方で、引き続き「即時償却」の適用をお考えであれば、「中小企業投資促進税制」の上乗せ措置を検討しましょう。この措置は、「生産性向上設備投資促進税制」よりも資本金や業種、対象設備が限定されているなどの注意点もありますが、上手く税制を活用して投資を促進しましょう。