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第21回:「生前の相続税対策」について

2015年12月31日

今月の税務・労務トピックは、最近巷で話題にあがる『生前の相続税対策』についてご紹介します。

そもそも相続税とは、人の死亡時に遺した財産を無償で取得した場合にかかる税金です。ですから、死亡時に遺す財産が多いほど、相続税は多額となってしまうわけです。死亡時の財産をいかに減らしておくかが、有効な相続税対策となるのです!

そこで最もよく使われる対策が『生前に財産を贈与する方法』です。

この贈与で財産を取得した人には贈与税がかかってきますが、一般的な贈与の場合には、1人あたり1年間で110万円までなら無税となり、贈与税の負担を心配することなく、財産の移転が可能となっています。この110万円までは贈与税がかからないというのは、聞いたことがある人も多いと思います。

最近の税制上の動きとしては、相続税は増税傾向にありますが、一方で贈与税は軽減方向に向かっています。

そのため、もっと踏み込んだ生前の贈与が可能となり、有効な相続税対策を図れるようになっています。

☆住宅取得等資金の贈与

直系尊属(祖父母、父母)からの贈与により取得した人が、その取得した金銭で贈与税の申告期限までに住宅を購入し居住の用に供している場合には、一定の非課税限度額(※)までは贈与税がかからないというものです。

※一定の非課税限度額

平成27年12月31日までの贈与の場合
最大1,500万円

平成29年9月30日までの贈与の場合
最大1,200万円

お子さんやお孫さんでこれから家を購入しようと考えている人には、活用してもらいたい制度ですね!

☆教育資金の一括贈与

この制度は、直系尊属(祖父母、父母)からの贈与を利用し、銀行、信託銀行又は証券会社で教育資金口座を開設し、教育資金のためにその贈与により取得した金銭等を活用した場合には、一定の非課税限度額(※)までは贈与税がかからないというものです。ただし、この制度を利用できる人は30歳未満の人に限ります。

※一定の非課税限度額

学校教育法に基づく教育資金(入学金、授業料等)の場合
最大1,500万円

上記以外の教育資金(塾、習い事等)の場合
最大500万円

私立の小学校から大学までの学費をまとめて面倒みてあげたいお子さんやお孫さんがいる場合には、利用価値が高いでしょう!

☆結婚・子育て資金の一括贈与

この制度は、直系尊属(祖父母、父母)からの贈与を利用し、銀行、信託銀行又は証券会社で結婚・子育て資金口座を開設し、結婚・子育て資金のためにその贈与により取得した金銭等を活用した場合には、一定の非課税限度額(※)までは贈与税がかからないというものです。ただし、この制度を利用できる人は50歳未満の人に限ります。

※一定の非課税限度額

子育て資金の場合
最大1,000万円

結婚資金の場合
最大300万円

お子さんやお孫さんでこれから結婚・出産子育てを考えている人には、活用してもらいたい制度ですね!

今回、ご紹介したこれらの贈与制度のポイントは、

  • 直系尊属(祖父母、父母)からの贈与であること
  • 適用を受ける年又は適用を受ける目的に応じて非課税限度額が異なること

です。

いずれも生前の相続対策としては、有効な方法のひとつとなります。