2015年2月27日
今月の税務・労務トピックは、“待ったなし!「マイナンバー制度」とは~税務編~”についてご紹介いたします。
早いもので2015年も既に1月半を経過してしまいましたが、今年の目玉といえば、何と言っても【マイナンバー制度】です。
2015年10月から、国民一人一人に対し「番号」が割り当てられることをご存知でしょうか?
今回は、いよいよ運用目前に迫った【マイナンバー制度】の概要と税務面における影響を確認したいと思います。
■ マイナンバー制度の背景
さて、そもそもなぜ「番号」による管理をする必要があるのか?
主な理由として挙げられるのは、「消えた年金記録問題」です。
もらえるはずの年金がもらえない?!
これは大問題でした。
本人の名前の管理は非常に難しく、例えば、斉藤さんだけでも、「斎」や「齋」など同じ漢字でも書き方一つ異なるだけでコンピューターは判断できなくなってしまい、上記問題の原因にもなっていました。
このように、少子高齢化が進展する我が国で、社会保障・税制度などの効率化・透明化が課題となり、その解決を目指すため、
- 個人には12ケタの番号
- 法人には13ケタの番号
を付番することを決定しました。
■ マイナンバーを利用できる分野
マイナンバーを利用できる範囲は、以下の3つに限定されています。(今後、利用目的を徐々に拡大する動きもあるようです)
- 税
- 社会保障
- 災害対策
2016年1月(通知は2015年10月)から、これらの行政手続でマイナンバーが必要となるのです。(マイナンバーなしでは上記行政手続ができません。)
■ 税務面における影響
国税通則法124は、従来「書類提出者の氏名及び住所の記載等」でしたが、マイナンバー制度導入に伴い、「書類提出者の氏名及び住所及び番号の記載等」と変更されます。
国税通則法124条(書類提出者の氏名及び住所及び番号の記載等)-抄- 「国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長又はその職員に 申告書、申請書、届出書、調書その他の書類を提出する者は、
当該書類にその氏名(法人については、名称。以下この項において同じ。) 及び住所又は居所及び番号を記載しなければならない。」
つまり、税務手続に関してはマイナンバーの記載が必須となります!!
特に、法定調書への記載については、「従業員本人や扶養家族」の個人番号、顧問弁護士や税理士への報酬がある場合には、当該弁護士や税理士の個人番号、が必要となるのです。
※企業規模は関係ありません。すべての企業が対象となります!
■ いつから番号を記載する必要があるのか?
- 所得税・贈与税:平成28年1月1日の属する年分以降の申告書から
- 法人税:平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から
- 消費税:平成28年1月1日以降に開始する課税期間に係る申告書から
- 相続税:平成28年1月1日以降の相続又は遺贈に係る申告書から
- 法定調書:平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係る法定調書から
- 申請書・届出書:平成28年1月1日以降に提出すべき申請書等から
上記のうち、最も早く番号を記載することとなるのは5や6と想定されます。
例えば5の例として、平成28年早々に従業員が退職した場合、退職者に対し平成28年分の源泉徴収票を提出することとなりますが、その際に発行する源泉徴収票には当該退職者の「番号」を記載することとなります。
■ まとめ
まずは、従業員に対する周知徹底を図り、番号の提供書を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
その後、番号法のルールに基づき、管理体制の構築や 業務フローの見直しなどを行うことが必要となってきます。
今回は、今年10月に私たちに通知されるその番号が、今後の税務手続に用いられる『非常に重要なもの』であることを確認しました。
番号法のルールについては、次回、労務編で確認いたします。