2018年11月1日
年末調整の対象者
年末調整は、原則として会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員人の全員について行いますが、例外的に年末調整の対象とならない人もいます。
年末調整の対象となる人とならない人は、次のとおりです。
年末調整の対象となる人(次のいずれかに該当する人)
(1) 1年を通じて勤務している人
(2) 年の中途で就職し、年末まで勤務している人
(3) 年の中途で退職した人のうち、次の人
死亡により退職した人 著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみて、本年中に再就職ができないと見込まれる人 12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人 いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人
(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる人を除きます。)
(4)年の中途で海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人
(非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない人をいいます。)
年末調整の対象とならない人(次のいずれかに該当する人)
(1) 上記の対象者のうち、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
(2) 上記の対象者のうち、災害により被害を受けて「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税の徴収猶予又は還付を受けた人
(3) 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人や、年末調整を行う時までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者)
(4) 年の中途で退職した人で、上記の(3)に該当しない人
(5) 非居住者
(6) 継続して同一の雇用主に雇用されないいわゆる日雇労働者など(日額表の丙欄適用者)
年末調整の注意点
年末調整手続きを行う場合に、注意するポイントが3つあります。
年末調整の際は、これらの各ポイントを押さえた上で手続きを進めてください。
1.「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
1か所から給与の支払を受ける人で、年末調整の時までに、その給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人については、この申告書を提出してもらってください。
2.確定申告が必要な場合
年末調整の対象とならない人は、自分で確定申告をして税額の精算をすることになりますので、こうした人には、期限までに住所地の所轄税務署長に確定申告書を提出しなければならない旨を伝えてあげてください。
3.外国人労働者の年末調整
外国人の労働者であっても、国内に住所を有するか又は引き続いて国内に1年以上居所を有する人については、上記の表により年末調整の対象となるかどうかを判定することになりますのでご注意ください。
年末調整の進め方
年末調整は、次のような流れで行います。
1.本年分の給与総額の計算
まず、年末調整のとき時までに支給した給与の総額を個人ごとに計算します。
2.給与所得控除後の給与金額の計算
その求めた給与の金額から、給与所得控除後の給与金額を求めます。
3.各種保険料の控除額の計算
「給与所得者の保険料控除申告書」に基づいて、各種保険料控除額を計算します。
4.扶養控除等の控除額の計算
「扶養控除等申告書」に基いて基づいて、扶養控除等の控除額を計算します。
5.配偶者特別控除額の計算
「給与所得者の配偶者特別控除申告書」に基づいて、配偶者特別控除額を計算します。
6.課税給与所得金額の計算
2.で求めた給与所得控除後の給与の金額から3.で求めた各種保険料控除額、4.で求めた扶養控除等の控除額の合計額、5.で求めた配偶者特別控除額を控除し、課税給与所得金額を求めます。
7.「算出年税額」と「年調年税額」の計算
6.で求めた課税給与所得金額を「年末調整のための所得税額の速算表」にあてはめて、「算出年税額」を求めます。
住宅借入金等特別控除の適用を受ける人は、上記で求めた算出年税額から、住宅借入金等特別控除額を控除して「年調年税額」を求めます。
住宅借入金等特別控除額がない人は、算出年税額が年調年税額になります。年調年税額は、100円未満を切捨てします。
8.過不足額の計算
7.で求めた年調年税額と本人の給料や賞与から控除した源泉所得税の合計額とを比べ、過不足額の精算をします。源泉所得税の合計額が年調年税額より多ければ、差額は本人に還付され、少なければ不足額を本人から徴収することになります。
以上が、年末調整の流れです。