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第193回:60時間超割増賃金及び在宅勤務の交通費

2022年12月21日

皆さま、こんにちは!

年の瀬が迫り、今年も残りわずかとなってまいりました。

本年も格別のご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。

さて、今月のメルマガは、2023年4月1日より「中小企業への月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げ」の適用と、「在宅勤務の交通費の取り扱い」についてお話します。

 

  • 月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率の引き上げ

 

◆改正のポイント

中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になります。

既に大企業は、2010年4月から適用となっている制度ですが、2023年4月1日より大企業・中小企業ともに50%への引き上げとなります。

 

➀深夜・休日労働の取扱い

・深夜労働

月60時間を超える時間外労働を深夜(22:00~5:00)の時間帯に行わせる場合、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。

・休日労働

月60時間の時間外労働時間の基準には、法定休日の労働時間(※)は含まれませんが、他の休日に行った労働時間は含まれます。

(※)法定休日の労働における割増賃金率は、35%です。

 

②代替休暇

月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため引き上げ分の

増賃金の支払の代わりに有給の休暇(代替休暇 )を付与することができます。

 

③就業規則の変更

割増賃金率の引き上げに合わせて就業規則の変更が必要となる場合があります。

ご不明は、チェスナットまでお問い合わせください。

 

  • 在宅勤務の交通費の取り扱い

 

一部企業では、働き方の多様化を推進する観点から、ポストコロナ禍でも勤務スタイルを原則テレワークとする動きがあり、従業員等の地方移住を認める会社もあります。

原則テレワークの従業員等が、業務命令等に基づき遠方の自宅から一時的に出社する場合、交通費が高額となり非課税限度額(15万円)を超えることも考えられます。

今回は、在宅勤務時の交通費の取り扱いをご説明します。

 

所得税法上、会社が従業員等に対して金品等を支給すると経済的利益の供与として給与 課税されます。ただ、通勤のために通常必要と認められ、最も経済的かつ合理的な経路及び方法による交通機関を利用した交通費は、「通勤手当」として非課税限度額の月額15万円まで給与課税されず、15万円を超えた部分については給与課税となります(所法9 ①五、 所 令20の2一)。

一方、勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行した場合に、通常必要であると認められる交通費は、「出張旅費」として全額が給与課税されません。( 所法9 ①四)。

テレワークをする従業員等が、業務命令等に基づき一時出社する場合の交通費全額が給 与課税とされないためには、自宅と本社等間の移動が、“勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行”に該当する必要があります。

 

“勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行”の該当性は、実態に基づき判断 することになりますが、テレワーク時の自宅と本社等間の移動については、従業員等の労務の提供地によって判断が異なります。

ここでの労務の提供地は、労働契約(労働契約で明確になっていない場合はその他勤務地を定める書類など)における場所で判断されているようです。

労務の提供地が、「本社」の場合、通勤手当規定などに基づき、通勤手当として非課税限度額15万円までは給与課税されません。一方「自宅」の場合は、通勤手当(定期代)の支給を受けておらず、旅費規程等に基づき実費精算していることを満たせば、「出張旅費」として、全額給与課税されません。

 

次に、社会保険料については労務の提供地で判断されます。

テレワーク時に出社する場合に支給する交通費が、社会保険料の算定基礎である 「報酬」に該当するか否かは、“労働契約上の労務の提供地”をもって判断します(日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」在宅勤務・テレワークにおける交通費及び在宅勤務手当の取扱いについ て)。 つまり、“労働契約上の労務の提供地”が「自宅」の場合は報酬に含まれない一方、「本社等」の場合は報酬に含まれることになります。

 

いかがだったでしょうか。

働き方が変わり、法令も変わります。時代の変化を超える対応がチェスナットのモットーです。法令改正対応など、ご不明な点がございましたら、チェスナットまでご相談ください。

 
 

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