2022年4月20日
皆さま、こんにちは。
令和3年度の確定申告期もようやく終わって一段落、そんな方には「もう来年の話か」と思われるかもしれません。今回の税務会計トピックは、令和4年度確定申告から適用される業務に係る雑所得への改正「現金預金取引関係書類(領収書・請求書)の保存義務」と「収支内訳書の添付義務」についてです。
領収書関係の保存は、すでに来年の確定申告に向けて動き始めないといけません。
以下では、上記改正が適用される要件等をご説明します。
1.雑所得
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいいます。例えば、公的年金、副業等に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)、暗号資産取引等が該当します。今回の改正は、業務に係る雑所得に対するものであり、基本的に副業等に係る所得が念頭に置かれています。
2.副業
副業の中には事業所得か雑所得か区分に悩む収入もあるかと思います。事業所得か雑所得かの判断には、明確な基準がなく、実態で判断する必要があります。事業所得に該当するかは、「営利性があるか」、「反復・継続して行っているか」、「社会的に認知されている職業か」といったことで判断されます。
これまで、雑所得に該当した場合、事業所得の青色申告事業者にある65万円の特別控除や欠損金の繰越といったメリットはありませんでしたが、収支内訳書の添付義務や領収書等の保存義務といった義務もありませんでした。今回の改正では、一定の要件のもと、雑所得にも収支内訳書の添付義務や領収書等の保存義務が発生するというものです。
3.領収書保存の義務
義務が発生するのは、「業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合」です。令和4年度確定申告で考えた場合、令和2年の確定申告書の第一表⑧「雑所得-業務」の金額が300万円超の場合ということになります。なお、証憑類の保存期間は、作成・受領の日の属する年の翌年3月15日の翌日から5年間となります。
この改正は、令和4年以後の所得税に適用されます。つまり、今年2022年1月1日以降の書類について、要件に該当する方は5年間保存する必要があります。
4.収支内訳書の添付義務
義務が発生するのは、「その年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者でその年の前々年分のその業務に係る収入金額が1,000万円を超えるものが確定申告書を提出する場合」です。令和4年で考えた場合、令和2年の確定申告書の第一表⑧「雑所得-業務」の金額が1,000万円超の場合は、上記で記載した領収書関係の保管義務に加えて、収支内訳書の作成が必要になります。収支内訳書は、事業所得の白色申告者が作成する収支内訳書と考えていただくと良いかと思います。
5.まとめ
この改正は、令和4年分以降の確定申告から適用されます。いずれも前々年分のその業務に係る収入金額によって判断されます。令和2年に雑所得を確定申告している方は令和2年の業務に係る雑所得の所得金額(確定申告書、第一表⑧「雑所得-業務」)を確認し、来年の確定申告に備えることをお勧めします。また、業務に係る雑所得が継続して300万円を超えている方は、この機会に事業化等を考えてみてはいかがでしょうか。
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参考:「令和2年度 所得税の改正のあらましP4 2-(2)、(4)」
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