2022年4月20日
皆さま、こんにちは。
先日確定申告業務が終わりましたが一息付く間もなく、税務調整が多く必要な会社の決算申告業務を行いました。
ところで皆さまはこの税務調整についてご存知ですか?
そこで今回は、会計と税務の考え方の違い、税務調整について説明します。
1.会計と税務の違い
経理を担当されている方は、「税務上否認される」「損金不算入」といった言葉を耳にした事はありませんか。
会計上は費用収益として認められても、法人税を計算する上(以下、税務上)では認めないということを意味しています。
会計と税務では『利益』の考え方がハッキリと違います。
その違いについて5月に入金される4月分売上を例にして簡単に説明します。
【会計】
会計では「発生主義」「現金主義」が採用されています。
発生主義/4月に売上が発生(請求書発行)しているため4月に売上を計上
現金主義/入金時に売上が発生していると考えるため5月に売上を計上
売上を計上するタイミングが違うため、同時点で見える利益が変わってきます。
【税務】
会計では発生主義・現金主義が採用されているのに対して、税務は発生主義に近いルール(厳密には債権債務確定主義と言います)に決められています。
4月分売上はいつの入金であっても4月に計上します。
したがって会計で現金主義を採用していた場合は会計と税務で利益に違いが生じます。
2.税務調整とは
会計と税務の違いで説明した、税務上の利益に修正する事を「税務調整」といいます。
下記、同じ決算月で【A社】は発生主義(債権債務確定主義とみなします)【B社】は現金主義で会計処理をした場合の税額計算です。
本来であれば同じ税額のはずが、【B社】の方が少ないことが分かります。
【A社】(4月決算/発生主義) 単位:千円
売上 100
費用 50
――――――――――
利益 50
法人税率 ×30% ※税率は30%としています
==========
法人税 15
【B社】(4月決算/現金主義)
売上 70 ※5月入金の4月分売上30を含めていない
費用 50
――――――――――
利益 20
法人税率 ×30%
==========
法人税 6
税金は公平性・中立性を大原則としているため、【A社】と【B社】の本来の利益が同じであれば税金も同じにしなければいけません。
そこで税務調整が入ります!
【B社】(4月決算/現金主義)
売上 70 ※5月入金の4月分売上30を含めていない
費用 50
――――――――――
利益 20
売上計
上漏れ +30 ※税務調整
――――――――――
税務上
の利益 50
法人税率 ×30%
==========
法人税 15 ※【A社】の税額と一致
会計上の利益20に計上されていなかった売上30を足したことにより正しい利益50に修正され、本来の税額15が算出されました!
税務調整によって正しい税額計算をすることができました。
3.その他の税務調整
税務調整の種類は他にも色々ありますが、良く出てくる代表的なものとして引当金があります。
引当金はあくまで会社が見積もった数字なので、確定主義の税務においては否認されてしまいます。
賞与引当金、修繕引当金、貸倒引当金(中小法人は一定の計算において認められています)などが出てきたら注意しましょう。
会計と税務における利益の違い、税務調整についてご説明しましたが、いかがでしたか。
税務調整は他にも減価償却超過額、役員給与の損金不算入等ありますので、今後もご紹介します!
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