2022年2月16日
皆さま、こんにちは。
2月も半ばとなり、いよいよ確定申告の準備も大詰めとなってまいりました。
さて、今回の税務トピックは、コロナ禍に伴い支給された助成金、給付金、協力金、見舞金、支援金等(以下助成金等)の所得税における取り扱いについてです。
助成金等は支給の対象者や目的、根拠となる法令などにより、税務上の取り扱いが異なりますので、具体例を交えてご紹介します。
1.所得税法上、非課税になる助成金等
以下の助成金等に関しては、所得税の申告は不要です。
⑴助成金の支給の根拠となる法令などの規定により非課税になるもの
- 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止の措置の影響により休業させられた労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方に対し支給されるもの
出典:厚生労働省
- 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金
以下に該当する子育て世帯に対する生活支援給付金
①児童扶養手当受給者等
②①以外の令和3年度分の住民税均等割が非課税、もしくは新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、住民税均等割非課税相当と認められるもの
③ひとり親世帯
出典:厚生労働省
⑵所得税法の規定により非課税になるもの
学資として支給される金品、心身または資産に加えられた損害について
支給を受ける相当の見舞金
- 新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
医療機関等に勤務し、患者・利用者と接する方を対象となるもの
出典:厚生労働省
- 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
事業主等に雇用される労働者がベビーシッター派遣サービスを利用した場合に、その労働者が支払うサービス利用料金の一部又は全部を助成するもの
※令和2年分以前は課税対象となる場合があります。
出典:内閣府
- 認可外保育施設の利用料に対する助成金
認可外保育施設(証明書交付あり)に入所している児童の保護者に対し、認可保育園等の保育料と認可外保育施設保育料の差額を助成するもの
※令和2年分以前は原則として課税所得(雑所得)となります。
出典:港区
2.所得税法上、課税対象になる助成金等
1の非課税になる助成金以外の助成金は課税対象になり、所得税や住民税が課税されます。また、収入として計上するタイミングが助成金によって異なりますので、一緒にご紹介いたします。なお、所得税法上は課税ですが、消費税法上の課税対象には該当せず、不課税取引になります。
⑴事業所得などに区分されるもの
事業者の収入減少に対する補償や支払賃金などの必要経費の補填を目的として支給するものなど、事業に関連して支給される助成金は事業所得などになります。
- 一時支援金、月次支援金(収入を事業所得などで確定申告した個人事業者)
緊急事態措置・まん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業又は外出自粛等の影響を受けて売上が50%以上減少した中小法人・個人事業者等に対し支給されるもの
収入計上時期:支給決定時
出典:中小企業庁
- 営業自粛要請に伴う地方自治体などの協力金
東京都の感染拡大防止協力金など自治体の要請に協力する事業者に対して支給されるもの
収入計上時期:支給決定時
出典:東京都
- 雇用調整助成金
新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、休業等を実施する事業主に対して休業手当などの一部を助成するもの
収入計上時期:支給決定時もしくは経費発生時
出典:厚生労働省
- 小学校休業等対応助成金・支援金(収入を事業所得などで確定申告した個人事業者)
令和3年8月1日から令和4年3月31日までの間に、新型コロナウイルス感染症により休校や欠席を余儀なくされた子どもの世話をすることが必要となった労働者に対し、有給休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業主等に支給するもの
収入計上時期:支給決定時もしくは経費発生時
- 農林漁業者への経営継続補助金
収入計上時期:支給決定時もしくは経費発生時
- 文化芸術・スポーツ活動の継続支援
収入計上時期:支給決定時もしくは経費発生時
※「経費発生時」とは、助成金の支給対象となる経費を支出したときに収入計上するものです。
⑵一時所得に区分されるもの
臨時的に一定の所得水準以下の方に対して支給するなど、事業に関連しないもので一時的に支給される助成金は一時所得になります。
- 一時支援金、月次支援金(収入を給与所得などで確定申告した個人事業者)
- 小学校休業対応等支援金(収入を給与所得などで確定申告した個人事業者)
- GoToトラベルにおける給付金
収入計上時期:旅行終了時もしくはクーポン使用時
- GoToイート、GoToイベントにおける給付金
収入計上時期:ポイント・クーポン・食事券などの使用時
⑶雑所得に区分されるもの
非課税にならず、上記⑴および⑵にも該当しない助成金は雑所得になります。
- 一時支援金、月次支援金(収入を雑所得などで確定申告した個人事業者)
以上、今回は助成金等の所得税における取り扱いについてご紹介しました。
ご不明な点やご質問などございましたら、お気軽にチェスナットまでお問い合わせください。
出典:国税庁
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