2019年9月18日
今回の税務トピックは、「請求書等の記載事項・様式」についてご紹介いたします。
令和元年10月1日から軽減税率制度の実施に伴い、軽減税率の対象品目を販売する事業者は請求書等の記載項目・様式を変更することが必要になります。
また少し先のお話しですが、令和5年10月1日から適格請求書等保存方式を実施することが決まり、多くの事業者が請求書の様式変更の対象になることが想定されます。
請求書等を発行するにあたり、どのような記載事項・様式にする必要があるのかをご紹介していきます。
【請求書等の記載項目・様式の改正について】
・~令和元年9月30日:現行の請求書等
・令和元年10月1日~令和5年9月30日: 区分記載請求書等
⇒軽減税率の対象商品を販売する事業者が対象
・令和5年10月1日~ : 適格請求書等(インボイス制度)
⇒多くの事業者が対象となることが想定されます
【現行の請求書等】
軽減税率開始前までの請求書等の記載項目・様式を確認していきます。
記載内容には1~5までの項目が必要となります。
- 発行者の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 交付を受ける者の氏名または名称 (※)
(※) 小売業、飲食店業、写真業、旅行用等を営む事業者が交付する書類につきましては、5番の記載を省略することができます。
【区分記載請求書等】
令和元年10月1日から軽減税率制度の実施に伴い請求書等の様式の変更となります。軽減税率8%と標準税率10%の複数税率となりますので、税率ごとに区分した請求書を発行する必要があります。
軽減税率の対象商品を販売する事業者は記載項目・様式の変更が必要となります。
標準税率の商品のみを販売する事業者は引き続き現行の請求書等の記載項目・様式を使用して問題ありません。
記載内容は上記1~5に加えて下記6、7の項目が必要となります。
6.軽減税率の対象品目である旨
⇒軽減税率の対象品目に記号・番号等を使用するなど請求書にその記号・番号等が軽減税率の対象であることを示す記載が必要となります。
7.税率ごとに合計した対価の額
⇒税率ごとに区分して合計した税込金額を記載します。
【適格請求書等(インボイス制度)】
令和5年10月1日から複数税率に対応した仕入税額控除の方式として「適格請求書等(インボイス制度)」が導入されます。この制度の詳細は開始日が近くなりましたら改めてご紹介させていただきますが、新制度の導入にあたり、請求書の記載項目・様式の変更が必要となりますので、今回簡単にご紹介いたします。
記載内容は上記1~5に加えて下記8、9項目が必要となります。
8.事業者番号
⇒税務署に適格請求書発行事業者として登録をする必要があります。
法人番号を有する課税事業者「T+法人番号13桁」
上記以外の課税事業者「T+税務署が発行する13桁の数字」
9.税率ごとの消費税額
⇒軽減税率8%と標準税率10%の消費税額をそれぞれ区分して記載します。
以上、今後の請求書等の記載項目・様式についてご紹介いたしました。請求書等は取引先に交付する大切な書類です。
相手方に不便をかけないように記載項目・様式を整えた請求書等を交付するようにしていきましょう。
また最後に区分記載請求書等の記載項目・様式について、国税庁Q&Aを2つご紹介いたします。
今回の変更により多くの方が疑問に感じる内容をピックアップしました。こちらのQ&Aを区分記載請求書等発行の参考になさってください。
【区分記載請求書等のQ&A】
Q1.取引の全てが軽減税率の対象となる場合であっても、請求書等に「軽減税率対象である旨」の記載は必要ですか?
A1.請求書等に「全商品が軽減税率対象」などと記載するなどして、その請求書等に記載された全ての取引が軽減税率の対象となることが客観的に明らかになる程度の記載が必要となります。
Q2.軽減税率の対象商品とそれ以外の商品を購入して仕入先から受け取った請求書等に「軽減税率の対象品目のである旨」と「税率ごとに合計した対価の額」の記載がなかったのですが、これらが記載された請求書等の再交付を受けなければ仕入税額控除を行うことができないのでしょうか?
A2.項目の記載がない請求書等を交付された場合であっても、当該請求書等の交付を受けた事業者が、その取引の事実に基づいて、これらの項目を追記することで、仕入税額控除を行うことが認められます。
請求書等の記載項目・様式について、その他お困りのことがございましたら、ぜひチェスナットにご連絡ください。
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