2018年10月17日
今月の税務トピックは、平成30年分年末調整での改正点についてご紹介いたします。
そもそも年末調整とは何かという点に関しては以前に書かせて頂いておりますので、下記トピックをご覧ください。
それでは改正点についてお話していきます。
改正点は大きく分けると以下の2つになります。
- 配偶者控除・配偶者特別控除の改正
- 控除申告書が2枚に分離
【配偶者控除・配偶者特別控除の改正】
◆配偶者控除・配偶者特別控除とは?
まず、平成29年までの配偶者控除・配偶者特別控除について復習しましょう。
夫が会社員、妻がパートの場合で考えていきます。
- 旧 配偶者控除
夫の年収に上限はなく、妻の年収が103万円以下であれば、夫は38万円の配偶者控除を受けることができました。 - 旧 配偶者特別控除
夫の年収が1,220万円以下につき、妻の年収が103万円を超えた場合でも141万円までは、特別控除(最高38万円から段階的に減少)を受けることができました。
◆新しい配偶者控除・配偶者特別控除
- 新 配偶者控除
納税者本人の所得制限が設けられました。
納税者本人つまり、夫の年収が1,120万円を超えると控除額が減少し、1,220万円を超えると配偶者控除も特別控除も受けられなくなります。
妻の年収上限は今までと変わらず103万円のままです。 - 新 配偶者特別控除
夫の年収が1,120万円以下の場合、控除額38万円の対象となる妻の年収上限が、103万円から150万円に引き上げられました。
また、150万円を超えても201万5,999円以下までは特別控除(最高36万円から段階的に減少)を受けることができます。
つまり、夫の年収が1,120万円以下であれば、150万円までは最高額の38万円控除を受けることができるようになりました。
以下に配偶者控除・特別控除の一覧表を載せましたので、参考にご覧ください。
※https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/h29aramashi.pdf
より抜粋
今回の改正で、いわゆる「103万円の壁」というものがなくなりました。
ただ、ここで気を付けたいのが社会保険加入条件となる「130万円の壁」はまだ存在しているということです。
150万円まで働けるからといっても130万円を超えると、夫の扶養から外れて社会保険に加入しなければならず、社会保険料を負担することになってしまいます。
そういった点では、今回の配偶者控除の改正には、まだまだ改善を望みたいところです。
参考 国税庁サイト https://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/index.htm
【控除申告書が2枚に分離】
「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」が今年から2枚に分かれます。
「給与所得者の保険料控除申告書」
「給与所得者の配偶者控除等申告書」
配偶者特別控除の場合は、今までも申告書に記載欄がありましたので違和感は少ないですが、配偶者控除を受ける場合は「配偶者控除等申告書」の提出もれが多くなることが予想されます。
「配偶者控除等申告書」の裏面に記載説明が載っていますので、しっかりと確認しましょう。
今回の改正点をきちんと理解して、正しい年末調整を行っていきましょう。
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