2018年1月25日
今回の税務トピックは、話題の『ビットコイン』の税務的な取り扱いについてご紹介いたします。
弊社においては年が明けまして確定申告シーズンに突入しましたが、メルマガをご覧の皆様もそろそろ確定申告の準備をしなければという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
中にはビットコインでそれなりに儲けたのだけれども、これって確定申告は必要なのかなと思われている方もいるかと思います。
昨年から国税庁よりビットコインの取扱いに係る案内が度々出ており、各税目に係る取扱いについて具体的に取り決められてきております。
今回は取り急ぎこの時期に確認が必要な『所得税』の取扱いについて説明させていただきます。
〇所得区分
所得税はその性質により数種類に分けられ、それぞれ計算方法が異なるのですが、ビットコインによって発生した利益は原則『雑所得』として取り扱います。
※事業としてビットコインの運用をしている場合は事業所得になるケースもあります。
ここでいう利益とは『ビットコインを使用することで生じた利益』のことを指すのですが、この『ビットコインを使用』とは下記のような取引が該当します。
- ビットコインを売却して円、その他通貨と交換したとき
- ビットコインを使って物・サービスを購入したとき
- ビットコインを他の仮想通貨に交換したとき
ビットコインは日々取引相場が変動しており、これにより発生した利益が確定した段階で雑所得として認識されます(含み益には課税はされません)。
- 例1
- 1,000,000円で買ったビットコインを1,200,000円の現金と交換した
- 例2
- 1,000,000円で買ったビットコインで1,200,000円の商品が買えた
- 例3
- 1,000,000円で買ったビットコインで1,200,000円相当の他の仮想通貨と交換した
〇税額計算
雑所得につきましては原則的に他の所得と合算する総合課税で税額計算されます。
しかし、給与所得者など確定申告が不要な方は、給与以外の所得との合計額が20万円以下の場合、確定申告は不要です。
また、雑所得の場合は、赤字が出た場合において他の所得に係る利益との損益通算ができず、また翌年に赤字を繰り越すこともできません。
〇FX(外国為替証拠金取引)との違い
相場の変動により利益を得ようとする点ではFXに近いと思われている方も多いかと思いますが、税金の取扱いは異なりますので注意が必要です。
FXによる利益もビットコインと同様に『雑所得』として取り扱われますが、FXについては特例により一律20.315%で税額計算できます。(申告分離課税)また赤字を翌年以降へ繰り越すことも可能です。
これは仮に最高税率の人であっても一律の20.315%の税率で計算できますので、所得が多く税率の高い人にとっては有利となります。
最後に簡単にポイントをまとめてみます。
- ビットコインによる利益は雑所得として取り扱う。
- ビットコインは現金に換えたときだけでなく、モノや他の仮想通貨に換えたときにも課税される。
- ビットコインはFXや株式に比べて税制面で不利な部分がある。
ここ最近のビットコインの過熱ぶりを見る限りでは、今後もいろいろと制度が整備されることも考えられますので、ビットコインに係る税制についても引き続き注視する必要があります。
上記は簡単な概要ですので、詳しく知りたい方は是非チェスナットまでお問い合わせください。