2017年10月20日
今回の税務トピックは「消費税の課税事業者の判定方法」についてご紹介いたします。
消費税は法人税のように法人として成り立っているから納める税金と違い、一定の条件を満たすことで課税事業者となります。今回はその条件と判定方法を紹介していきます。
- 資本金による判定方法
基準期間:なし
判定方法:設立時または事業年度の期首に資本金1,000万円以上【ケース1】
「設立時に資本金1,000万円以上の場合」
上記のケースの場合、設立1期目から消費税の課税事業者になります。【ケース2】
設立時に資本金600万円、1期目期中に600万円増資をした」
上記のケースの場合、設立1期目は消費税の免税事業者になります。
しかし、1期目に増資をしており、2期目の期首には資本金が1,200万円になっています。
そのため、2期目は消費税の課税事業者になります。【留意点】
・こちらの判定方法は、設立1期目から消費税の課税事業者になり得ますので、資本金の設定の際には、ご考慮下さい。
・また1期目に増資・減資する際には、翌事業年度から消費税の課税事業者の有無についてご考慮下さい。 - 原則による判定方法 ※iで免税と判定された場合でもiiの判定が必要
基準期間:2期前の事業年度
判定基準:課税売上高1,000万円以上【ケース3】
「当事業年度が3期目/課税売上高 1期目:600万円、2期目:1,200万円」
上記のようなケースの場合、基準期間・判定基準は下記の通りとなります。
基準期間:1期目
判定基準:課税売上高600万円
以上のことから、3期目となる当事業年度は消費税の免税事業者となります。【ケース4】
また上記の条件で当事業年度が4期目だった場合は下記のように判定します。
基準期間:2期目
判定基準:1,200万円
以上のことから、4期目となる事業年度は消費税の課税事業者となります。【留意点】
・設立後1期目、2期目は基準期間が存在しないため、免税事業者となります。
・消費税の課税事業者となるのは課税売上高1,000万円を超えた事業年度の2期後になります。 - 特定期間による判定方法 ※iiで免税と判定された場合でもiiiの判定が必要
特定期間:前期事業年度の設立又は期首から6ヵ月
判定基準:課税売上高1,000万円以上かつ給与支給額1,000万円以上【ケース5】
「当事業年度が2期目/1期目は4/1~3/31まで12カ月間事業稼働していた
1期目の課税売上高2,400万円、給与支給額2,400万円
4/1~9/30までの課税売上高1,200万円、給与支給額1,200万円」
上記のようなケースの場合、特定期間・判定基準は下記の通りとなります。
特定期間:1期目の4/1~9/30
判定基準:課税売上高 1200万円・給与支給額1,200万円
以上のことから、2期目となる当事業年度は消費税の課税事業者となります。【ケース6】
また上記のケースで、基準期間内(1期目の4/1~9/30)の課税売上高又は給与支給額ないしはその両方が1,000万円以下の場合は、2期目となる当事業年度は消費税の免税事業者となります。
※つまり課税売上高か給与支払額の片方が1,000万円以下ならば免税になります。【留意点】
・設立後1期目は基準期間が存在しないため、免税事業者となります。
・給与支給額には賞与支給額・退職手当が含まれます。
そのため、賞与支給日を決定する際には、こちらの判定方法を参考下さい。
今回は消費税の課税事業者の判定方法について、簡単な留意点とともにお話いたしました。
消費税の免税を常に考えていきたい場合や、消費税の課税事業年度はいつ頃来るのかなど、事業に少なからず関わってくることかと思います。
今後、消費税率が10%に上がる可能性を考えますと、さらに負担感が増しますので、より注意して確認していく必要があります。
上記の内容で、または消費税について疑問がありましたら、チェスナットグループまでお問い合わせください。