2015年8月31日
今月のトピックは「外れ馬券は、経費にできるか」を紹介いたします。
つい先日「外れ馬券は経費になるか??」という裁判で「経費になる!!!」なるという判決が出ました。
2007年から3年間で「計約28億7000万円の馬券を購入」し、「30億1000万円の払戻金を受けていた」人が、これについて確定申告を一切しておらず、所得税法違反の罪に問われました。
その納税者は、無申告であったことについては認めましたが、外れ馬券が経費になるかという点で、国側と主張が対立しました。
■国側の主張
競馬の所得は「一時所得」であり、「当たり馬券の購入費約1億3,000万円だけ」が経費として控除できると主張
■納税者側の主張
「外れ馬券の購入費」も経費であるとして3年間の経費を計約29億円と主張
■判決
大量の馬券を自動的に繰り返し購入した場合、競馬の所得は「雑所得」に当たり、「全ての外れ馬券の購入費が経費になる」としました。
この納税者は、市販の競馬予想ソフトを改良した独自のシステムを構築し、専用口座を開いて、インターネットでほぼ全レースの馬券を自動的に購入していました。
また、この判決に伴い、国税庁からも払戻金について通達の改正が発表されました。
国税庁からの通達(所得税基本通達34-1)抜粋
(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
(注)1.馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2.上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。
◆一時所得となる場合
一時所得は、その所得に「直接関係」した支出しか認められませんので、当たった馬券の購入費用しか経費になりません。極端に言いますと、儲けどころか損が出ているのに、税金を納めなければいけないということになります。
◆雑所得となる場合
雑所得とは、税法上で定められている給与所得や不動産所得などの「9種類の所得に含まれない所得」であり、この当たり馬券の払戻金が雑所得と認められた場合は、外れ馬券をすべて経費にすることができます。
◆まとめ
従来、競馬の馬券の払戻金等については、払戻金を得るために行った馬券購入行為の態様や規模等に関わらず、一律に「一時所得」として取り扱っていましたが、馬券の購入を娯楽ではなく予想ソフト等を使用しインターネットで何年も馬券を購入していた、営利目的の資産運用と認められれば「雑所得」とすることができるようです。
とはいっても、なかなか当たり馬券を「雑所得」にできる人はいないのではと思います。
しかしながら、申告することを知らない、または改正を知らないことによって罪に問われたり、納めなくてもいい税金を納めたりする可能性があります。
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