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第152回:中小企業向け所得拡大促進税制

2021年11月17日

皆さま、こんにちは。
今回の税務会計トピックは、令和3年度の税制改正により見直しがありました「中小企業向け所得拡大促進税制」について概要と改正点をご紹介します。以下では、令和3年4月1日以降に開始される事業年度から要件等についてお話しします。改正前の内容よりも簡易的になりましたので、是非ポイントを抑えて集計・判定のお役に立てればと思います。令和3年3月31日以前の要件等については、以前税務トピックでご紹介しておりますので、以下のURLよりご確認ください。
第86回:「所得拡大促進税制」の概要について

まずは所得拡大税制の概要からご紹介します。
所得拡大税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税から税額控除できる制度です。

【適用要件】

・雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加
従業員への給与等支給額が全体で前年より1.5%以上増加していると要件を満たします。

※雇用者給与等支給額とは、国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額(業務改善助成金、キャリアアップ助成金など)がある場合には、当該金額を控除します。他の者から支払を受ける金額には、国又は地方公共団体から受ける雇用調整助成金等(雇用保険法に掲げる事業として支給が行われる助成金)には含まれません。

【税額控除】

・控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額又は所得税額から控除
適用年度の従業員への給与等支給額と前年度の給与等支給額の差額の15%を税額控除することができます。税額控除額は法人税額の20%が限度となります。

※控除対象雇用者給与等支給増加額とは、適用年度の「雇用者給与等支給額」から前事業年度の「比較雇用者給与等支給額」を控除した金額をいいます。ただし、調整雇用者給与等支給増加額(適用年度の雇用調整助成金等を控除した「雇用者給与等支給額」から、前事業年度の雇用調整助成金等を控除した「比較雇用者給与等支給額」を控除した金額)を上限とします。

【上乗せ措置】

・教育訓練費増加等の要件
1.当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費の1.1倍
2.中小企業等経営強化法の認定に係る計画における経営力向上の証明

上述した教育訓練費増加等の上乗せ要件を満たすことにより、通常よりも大きな税額控除を受けることが可能になります。
適用要件は、雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加しており、かつ教育訓練増加等のいずれかを満たしていることです。
税額控除は、控除対象雇用者給与等支給額の25%を法人税額又は所得税額から控除することができます。税額控除額は法人税額の20%が限度となります。

【令和3年度改正による主な変更点】

今回の改正により、旧制度の継続雇用者要件が撤廃になりました。継続雇用者要件とは、適用年度と前事業年度の24か月間に給与等が支給されている国内雇用者が対象となり、前年度からの給与等の増加を判定する要件です。
継続雇用要件の撤廃により、賃上げだけではなく雇用増による所得拡大の取組みも評価することになりました。また、適用要件の集計・判定など手続きに係る事務負担の軽減が見込まれます。

≪改正前≫ 平成30年4月1日~令和3年3月31日までに開始される事業年度が対象
〈適用要件〉
1.継続雇用者給与等支給額:対前年度増加率1.5%
2.雇用者給与等支給額:対前年度を上回ること

〈上乗せ措置の要件〉
・継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が2.5%以上であり、かつ、教育訓練費増加等の要件*を満たす場合には、控除率を10%上乗せ

≪改正後≫ 令和3年4月1日~令和5年3月31日までに開始される事業年度が対象
〈適用要件〉
・雇用者給与等支給額:対前年度増加率1.5%以上

〈上乗せ措置の要件〉
・雇用者給与等支給額の対前年度増加率が2.5%以上であり、かつ、教育訓練費増加等の要件を満たす場合には、控除率を10%上乗せ

以上、令和3年度の改正点を含めた中小企業向け所得拡大促進税制についてご紹介しました。今後、国内では賃金の引上げを促す動きが活発化することが予想されます。その際には今回紹介した所得拡大税制も大きく変動する可能性もありますが、令和5年3月までは上述した内容が適用されますことをご留意ください。今回のトピックの内容について、ご相談・ご質問などがございましたら、是非チェスナットにご連絡ください。

中小企業庁「中小企業向け所得拡大促進税制(令和3年4月1日以降に開始する事業年度分)

財務省「パンフレット「令和3年度税制改正」」

 

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